統合校舎の新築や校舎の増築を担当することになったとき、設計者から「まず地盤調査をお願いします」と言われて、何をどこまで頼めばよいのか迷われたことはありませんか。ボーリング、標準貫入試験、N値、柱状図、支持層、液状化判定——出てくる言葉は専門的なのに、その結果しだいで基礎の形式が変わり、工事費と工程が大きく動きます。自治体の施設担当者の方から、この段階での判断材料が乏しいというお声をよく伺います。
この記事では、学校施設の地盤調査を「調査の中身」「結果の読み方」「基礎計画への結びつき」「液状化判定」「既存資料の活用」の順で整理します。根拠としたのは、建築基準法施行令第38条・第93条、標準貫入試験の規格であるJIS A 1219、国土交通省の「宅地液状化被害可能性判定に係る技術指針」、文部科学省の学校施設整備指針といった一次資料です。読み終えるころには、設計者と地質調査会社に対して「どこを何本、どの深さまで、何を調べてほしいのか」を自分の言葉で伝えられる状態を目指します。なお、調査全体の種類や依頼の流れは別記事で扱っており、本記事は地盤と基礎に絞ってお伝えします。計画段階から相談先を持っておきたい場合は、学校施設の地盤調査と基礎計画の進め方について光建舎に相談するところから始めていただくのも一つの方法です。
目次
学校の地盤調査とは|結論と、先に押さえる3つの論点
学校の地盤調査とは、校舎や屋内運動場を安全に支えられる地盤かどうかを確かめ、基礎の形式と設計に必要な数値を得るために、敷地の地層構成・強度・地下水位などを調べる調査のことです。 建築基準法施行令第93条は「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない」と定めており、地盤調査は任意の追加業務ではなく、構造設計の前提となる法令上の手続きです(出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第93条)。
先に押さえていただきたい論点は3つです。
第一に、地盤調査は「基礎の形式を決める調査」だということ。同じ規模の校舎でも、良好な地盤が浅ければ直接基礎、深ければ杭基礎になり、杭の長さと本数で工事費が変わります。基本設計の概算工事費の精度は、地盤情報の有無に左右されます。
第二に、N値だけを見て判断しないこと。N値は地盤の硬軟や締まり具合をつかむ有力な指標ですが、「N値がいくつ以上なら支持層」という一律の目安はありません。土質(砂質土か粘性土か)、層の厚さと連続性、建物の規模と重さ、採用する基礎形式によって必要な水準は変わります。数値の大小だけを切り取った議論は、庁内でも設計者との協議でも避けたほうが安全です。
第三に、液状化は別枠の検討だということ。支持力が足りていても、地震時に液状化するおそれのある砂質地盤では扱いが変わります。実際、施行令第93条ただし書きの表では「砂質地盤」の許容応力度が「地震時に液状化のおそれのないものに限る」という条件つきで示されています。液状化の検討は、支持力の検討とは別に必要になるとお考えください。
ボーリング調査(標準貫入試験)とは|JIS A 1219で測るもの
ボーリング調査とは、地面に細い孔を掘り進めながら土のサンプルを採取し、あわせて標準貫入試験を行って地層ごとの強度を測る調査のことです。標準貫入試験は、質量63.5kgのハンマーを760mmの高さから自由落下させ、専用のサンプラーを30cm打ち込むのに要した打撃回数(=N値)を求める試験で、その方法はJIS A 1219「標準貫入試験方法」に規定されています。
同規格では、試験の目的を「地盤の硬軟、締まり具合の判定、及び土層構成を把握するための試料の採取」と位置づけています。手順の要点を、規格の記載に沿って番号順に整理します。
- 試験孔の掘削:所定の深さまで掘り進め、孔底のスライム(掘りくず)を取り除きます。孔底以深の地盤を乱さないことが条件です。地下水面より下で試験する場合は、孔内水位を周囲の地下水位より高く保ち、孔底からの水の流入を防ぎます。
- サンプラーの設置:ロッドの先端にサンプラーを取り付けて孔底へ降ろし、打撃装置を取り付けます。この時点の自沈量(ハンマーを落とさずに自重で沈んだ量)を記録します。
- 予備打ち:孔底から150mmまで打ち込みます。
- 本打ち:さらに300mm貫入させ、100mmごとに打撃回数を記録します。この300mmに要した全打撃回数がN値です。
- 打ち切りの判断:本打ちの打撃回数は、特に必要のないかぎり50回を限度とします。50回の打撃で累計貫入量が10mm未満の場合は「貫入不能」として記録します。
- 試料の観察:地表に引き上げてサンプラーを二つ割りにし、採取した土を観察・保存します。
(出典:JIS A 1219 標準貫入試験方法。ハンマーの質量は63.5±0.5kg、落下高さは760±10mmと規定。設計に用いるN値を求める場合の掘削孔径は直径65〜150mmとされています)
実務上の要点は3つあります。ひとつは、N値は「1mごと」など一定の深さ間隔で測る点。連続的な値ではなく、深さ方向に飛び飛びのデータだということです。もうひとつは、同時に土のサンプルが採れる点。液状化判定に必要な粒度試験(細粒分含有率など)は、この試料があって初めて実施できます。そして三つめは、「貫入不能」は必ずしも硬い岩盤を意味しない点。転石にあたっている場合もあるため、柱状図の観察記事とセットで読む必要があります。
なお、住宅の地盤調査で用いられるスクリューウエイト貫入試験(SWS試験、JIS A 1221。2020年の改正まで「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていた方法)は、簡便で本数を打ちやすい一方、土のサンプルは採れません。校舎規模の建物では、ボーリングによる標準貫入試験が調査の中心になるのが一般的です。
地質柱状図の読み方|N値・土質・地下水位をセットで見る
地質柱状図(ボーリング柱状図)とは、1本のボーリング孔で分かったことを深さ方向に一枚にまとめた図面のことです。国土交通省の「地質調査資料整理要領(案)」では、この柱状図を電子成果品として納品することが定められており、掘進方向の尺度は1:100、用紙はA3縦が基本とされています。
同要領は、柱状図に載る情報を様式ごとに整理しています。実務で発注者が見るべき欄を、要領の様式区分に沿って挙げます。
| 柱状図の主な欄 | 何が書かれているか | 発注者の見どころ |
|---|---|---|
| 標題(A様式) | 調査位置、孔口標高、掘進長、調査日など | 校舎の計画位置と孔の位置がずれていないか |
| 土質・岩種区分(B様式) | 各層の土質(粘土、シルト、砂、礫など) | 砂質土の層がどの深さにどれだけあるか |
| 観察記事(D1様式) | 現場での観察所見 | 「転石あり」など数値に表れない情報 |
| 標準貫入試験(E1様式) | 深さごとのN値、打撃回数と貫入量 | 数値の並びと、急に大きくなる深さ |
| 相対密度・相対稠度(F様式) | 締まり具合、硬さの区分 | N値と土質の対応関係 |
| 地盤材料の工学的分類(N様式) | 土の分類記号 | 液状化検討の対象になりうる層か |
| 孔内水位(P様式) | 掘削中・掘削後の地下水位 | 地下水位の深さ(液状化判定の重要因子) |
(出典:国土交通省「地質調査資料整理要領(案)」ボーリング柱状図編。様式区分は同要領の記載による)
読み方のコツは、N値の欄だけを縦に追わないことです。同じN値でも、砂質土か粘性土かで意味が変わります。地下水位の記載も必ず確認してください。地下水位が浅く、その下に緩い砂の層がある——この組み合わせが見えたら、液状化の検討が必要になる可能性が高いと判断できます。
そしてもう一点、柱状図はあくまで「その1点の情報」だということです。学校の敷地は面積が広く、旧河道や谷を埋めた造成地をまたいでいることも珍しくありません。1本の柱状図で敷地全体を語ることはできない、という前提で本数と配置を考える必要があります。
支持層と基礎形式|直接基礎と杭基礎はどう分かれるのか
支持層とは、建物の荷重を安全に受け止められる、十分な強度と広がりをもつ地層のことです。この支持層が浅ければ基礎スラブで直接支える「直接基礎」、深ければ杭で荷重を届ける「杭基礎」となり、この分かれ目が事業費と工程を大きく左右します。
法令の骨格を確認します。建築基準法施行令第38条は、基礎について「建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」と定めています。同条第2項は「建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならない」とし、さらに第3項は、高さ13mまたは延べ面積3,000㎡を超える建築物で、作用する荷重が最下階の床面積1㎡につき100kNを超えるものについて、基礎の底部(杭を使う場合はその先端)を良好な地盤に達することとしなければならない、と規定しています(構造計算で安全が確かめられた場合の適用除外あり)。校舎は延べ面積が3,000㎡を超える例も多く、この規定が現実の論点になります。
文部科学省の学校施設整備指針も、基礎について具体的に記述しています。中学校施設整備指針の第7章「構造設計」第3「基礎」では、次のような留意事項が示されています。
- 構造的に一体となる建物は、基礎形式は1種類とし、良質かつ同一の地盤に支持させることが重要である
- 直接基礎の場合は、支持させる地盤の土質、地耐力等に応じ、十分な接地面積を確保し、断面形状を適切に設計することが重要である
- 杭基礎の場合は、中間層の土質、支持層の地耐力等に応じ、支持方式を適切に設定し、杭の種類、断面形状等を適切に設計することが重要である
- 地盤沈下を生じている地域及びその可能性がある地域において杭基礎を用いる場合には、必要に応じ、負の摩擦力の検討を行うことが重要である
(出典:文部科学省「中学校施設整備指針」第7章 構造設計 第3 基礎)
ここで注意していただきたいのが、「基礎形式は1種類」「良質かつ同一の地盤に支持」という考え方です。敷地の一部が盛土、一部が地山という条件では、この原則を満たすために配置計画そのものを見直す判断もあり得ます。文部科学省の小学校施設整備指針(令和4年6月改訂)も、建物の敷地について「できる限り盛土部分を避け、異なる地質及び地盤条件をもつ部分にまたがらず、また、土砂の流出するおそれのある部分に近接していないことが望ましい」としています。地盤調査は、基礎の設計だけでなく、建物をどこに置くかの判断材料でもあるのです。
なお、施行令第93条ただし書きには、地盤の種類ごとの許容応力度が表として示されています。岩盤1,000kN/㎡、固結した砂500kN/㎡、土丹盤・密実な礫層300kN/㎡、密実な砂質地盤200kN/㎡、堅い粘土質地盤・堅いローム層100kN/㎡、砂質地盤(地震時に液状化のおそれのないものに限る)とローム層50kN/㎡、粘土質地盤20kN/㎡(いずれも長期。短期はその2倍)です。ただしこれは調査結果に基づいて定める原則に対する簡便な代替であり、この表の数値をもって「N値がいくつなら大丈夫」という換算ができるものではありません。統合校舎の整備で基礎形式の選択に迷われている場合は、統合校舎の地盤調査と基礎形式の検討について光建舎に無料で相談することで、調査計画の段階から論点を整理しやすくなります。
液状化判定の枠組み|どの基準で、何を確かめるのか
液状化とは、地震の揺れによって、地下水に飽和した緩い砂質地盤が一時的に液体のようにふるまい、支持力を失う現象のことです。建築の分野では、液状化に対する安全率(FL値)を層ごとに求め、それを地表への影響に換算して評価するのが基本的な枠組みで、日本建築学会「建築基礎構造設計指針」がその代表的な拠りどころとされています。
判定の考え方を、国土交通省が定めた「宅地液状化被害可能性判定に係る技術指針」の構成に沿って見ていきます。同指針は戸建て住宅等の宅地を対象としたもので、校舎にそのまま適用されるものではありませんが、行政文書として判定の手順と必要データが明示されている数少ない資料であり、枠組みの理解には有用です。
同指針は判定を三段階に分けています。
- 一次判定:新旧の地形図、地盤データベース、液状化予測図といった既存資料と現地調査から、二次判定の要否を判断する
- 二次判定:地盤調査の結果に基づき、顕著な被害の可能性を3ランクで判定する
- 三次判定:必要に応じて、繰返し非排水三軸試験や一次元地盤応答解析など詳細な調査・解析を行う
二次判定に必要な調査として、同指針は次の内容を挙げています。調査深度は地表から深度20mを基本とし、調査資料はボーリング調査による地層構成、地下水位、標準貫入試験値(N値)、室内土質試験による粒度特性(細粒分含有率、粘土分含有率、塑性指数)、土の単位体積重量とされています。各調査・試験はJISおよび地盤工学会指針に従って行うこととされています。
つまり、液状化判定を見据えるなら、ボーリングの深さは20m程度を確保し、N値だけでなく土のサンプルを採って粒度試験まで行う必要があるということです。ここを外して「N値だけ測って終わり」にすると、後から追加調査が必要になり、工程が後ろにずれます。発注仕様を組む際の、最も実務的な要点です。
判定の出口としては、各層のFL値から非液状化層厚(H1)と地表変位量(Dcy値)または液状化指標値(PL値)を算出し、判定図で「顕著な被害の可能性が低い/比較的低い/高い」の3ランクに区分します。FL値の算定は「建築基礎構造設計指針」「道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐震設計編」を基本とし、同指針では震度5程度の中地震を対象として、マグニチュード7.5、想定最大加速度200galという条件が示されています(出典:国土交通省「宅地液状化被害可能性判定に係る技術指針」)。
繰り返しになりますが、これは宅地を対象とした中地震の枠組みです。避難所となる学校施設で、どの地震動を想定し、どの基準で判定し、どこまでの被害を許容しないのかは、設計者・構造設計者と、防災担当部局を交えて決めるべき事項です。調査を発注する前に、この「想定と目標」を庁内で言語化しておくと、成果物の使い勝手が大きく変わります。
既存の地盤情報をどう活用するか|公開データベースと庁内資料
新たにボーリングを打つ前に、既存の地盤情報を集めることをおすすめします。国や研究機関が無償で公開しているデータベースがあり、これらを一次判定の材料にすることで、本数と深さの計画を根拠のあるものにできます。
代表的なものを整理します。
| 情報源 | 提供主体 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」 | 国土交通省、土木研究所、港湾空港技術研究所(管理は土木研究所) | 道路・河川・港湾事業等の地質・土質調査成果であるボーリング柱状図、土質試験結果一覧表、土性図等 |
| 国土地盤情報データベース | 一般財団法人 国土地盤情報センター(NGiC) | 検定を経た地盤情報。一般公開(閲覧フリー)と限定公開の2区分で提供 |
| 地形区分に基づく液状化の発生傾向図 | 国土交通省(重ねるハザードマップで公開) | 全国250mメッシュの微地形分類に基づく液状化発生傾向の5段階区分 |
| 都道府県液状化危険度分布図 | 国土交通省(都道府県の地震被害想定調査等を収集) | 特定の地震に対する液状化危険度の分布 |
| J-SHIS 地震ハザードステーション | 国立研究開発法人 防災科学技術研究所 | 250mメッシュの地盤属性(微地形区分、30m平均S波速度、最大速度増幅率など) |
(出典:KuniJiban公式サイト、国土地盤情報センター公式サイト、国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向図等」)
KuniJibanは平成20年3月28日から運用を開始した無償公開サイトで、同サイトが公表する公開中のボーリング柱状図数は、北海道開発局から沖縄総合事務局まで各管内で約3,600〜約36,000本(2022年7月21日現在)で、これらを合計するとおよそ20万本規模になります。また、平成30年8月には国土地盤情報センターにおいて、国土交通省の地質・土質調査で得られる地盤情報の内容を確認する「地盤情報の検定」が開始されています。
液状化については、国土交通省が「宅地液状化の調査・検討を進めるうえで必要となる情報」として、既往の微地形分類図、空中写真、地形図・旧版地図・古地図等、DEM(数値標高モデル)、ボーリング資料等の地盤情報、過去の液状化発生履歴の6分類で公開情報を整理しています。旧版地図と空中写真で「もとは何だった土地か」を確かめる作業は、費用をかけずにできる有効な一次判定です。
ただし、公開データの限界も理解しておく必要があります。国土交通省は「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」について、250mメッシュ内で面積比率の大きい微地形から作成しているため人工改変地の詳細な位置までは反映されておらず、発生傾向が弱いとされる区域でも、その中の埋立地等の特定地点では地震時に液状化が発生する可能性があると明記しています。また同図は特定の地震や震度を考慮したものではないとも注記されています。広域の傾向をつかむ道具であって、敷地の判定を代替するものではない、という位置づけです。
忘れられがちなのが庁内に眠っている資料です。過去の校舎建設時の地質調査報告書、隣接する公共施設や道路・下水道工事の柱状図、造成時の記録。これらは所管課をまたいで保管されていることが多く、探せば見つかることがあります。既存資料をどこまで集めたかを整理してから調査本数を決めると、無駄が減ります。
学校ならではの調査計画|本数・時期・発注で押さえる実務
学校の地盤調査が他の建物と違うのは、敷地が広いこと、在校生がいる状態で調査することが多いこと、そして避難所としての役割を担うことです。この3点が、本数・時期・仕様の決め方に影響します。
まず本数と配置です。国土交通省の技術指針も、地盤調査は「判定対象宅地の面積、形状、地形状況、地層の変化状況等の要因を十分に配慮して、ボーリング本数および土質試験を計画する」としています。学校の場合、校舎・屋内運動場・給食施設と複数の建物が計画されることが多く、建物ごとの位置に合わせて配置を考えるのが基本です。加えて、旧地形図で谷や旧河道の境界が敷地を横切っていることが分かれば、その境界をはさむ配置が有効になります。文部科学省の学校施設整備指針も「地盤状況を適確に把握し、災害時や不同沈下等に対する安全を確保することができるよう各施設部分を配置することが重要である」としており、調査結果を配置計画にフィードバックすることが前提とされています。
次に時期です。地盤調査の結果は基本設計の与条件になります。基本計画の終盤から基本設計の着手前後に実施しておかないと、平面計画も概算工事費も固まりません。統合校舎の整備では合意形成の日程が全体工程を規定しがちですが、地盤調査だけは工程の前半に置くことをおすすめします。あわせて、在校中の実施であれば、掘削の騒音・振動、機材の搬入経路、児童生徒の動線からの隔離、休業期間の活用といった安全計画を、学校と事前に詰めておく必要があります。
最後に発注仕様です。仕様書に落とすべき事項を、順に挙げます。
- 調査の目的:支持層の把握か、液状化判定まで行うか、既存校舎の増築で既存基礎との整合を見るのか
- 本数と位置:計画建物の位置に対応させ、位置図に明示する
- 調査深度:支持層の確認に必要な深さ。液状化判定を行うなら地表から20m程度を基本とする
- 試験項目:標準貫入試験に加え、液状化判定を行うなら室内土質試験(粒度特性、単位体積重量等)を明記する
- 地下水位の測定:掘削中・掘削後の孔内水位を記録すること
- 成果物の形式:柱状図(電子柱状図)、ボーリング交換用データ、簡略柱状図、土質試験結果一覧表など。国土交通省の地質・土質調査成果電子納品要領に準拠させると、後年の再利用がしやすくなります
- 既存資料の扱い:発注者が保有する過去の調査報告書を貸与し、報告書で参照させる
株式会社光建舎は、学校・教育施設の改修に特化した実績とノウハウを全国で積み重ねてきました。調査・設計・施工までをワンストップで対応できる体制と、在校中・営業中でも止めない安全・工程管理を強みとしており、補助金・交付金の活用支援も含めて、上流の調査・計画から下流の施工までお手伝いできます。地盤調査は、その最初の一歩にあたる業務です。
よくある質問
Q. 地盤調査は法令上、必ず行わなければならないのですか。
A. 建築基準法施行令第93条は、地盤の許容応力度および基礎ぐいの許容支持力について、国土交通大臣が定める方法によって地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならないと規定しています。同条ただし書きでは、地盤の種類に応じた数値を用いることもできるとされていますが、校舎のような規模・用途の建築物では、調査結果に基づいて定めるのが実務上の基本です。地盤調査の方法は、同条の委任を受けた平成13年7月2日国土交通省告示第1113号(地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法並びにその結果に基づき地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を定める方法等を定める件)に定められています。
Q. N値がいくつあれば支持層と考えてよいのですか。
A. 一律の目安を示すことはできません。支持層として使えるかどうかは、N値の大きさだけでなく、土質、層の厚さと敷地内での連続性、建物の規模と荷重、採用する基礎形式、沈下の許容量などを総合して構造設計者が判断します。同じN値でも砂質土と粘性土では意味が異なり、また「50回打っても入らない」記録が転石によるものである場合もあります。柱状図の観察記事や土質試験の結果と合わせて判断する必要があるとお考えください。
Q. ボーリングは何本必要ですか。1本では足りませんか。
A. 本数の基準は法令で一律に定められておらず、敷地の面積・形状、地形の状況、地層の変化の程度、計画建物の配置などを踏まえて計画します(国土交通省「宅地液状化被害可能性判定に係る技術指針」も同様の考え方を示しています)。学校の敷地は広く、校舎・屋内運動場など複数の建物が計画されることが多いため、1本で敷地全体を代表させるのは一般に難しいと考えられます。旧版地図や既存の柱状図で地層の変化が疑われる場合は、その境界をまたぐ配置を検討します。
Q. 液状化の判定は、どの資料に基づいて行うのですか。
A. 建築分野では、日本建築学会「建築基礎構造設計指針」が代表的な拠りどころとされています。国土交通省の「宅地液状化被害可能性判定に係る技術指針」も、液状化に対する安全率(FL値)の算定について同指針や「道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐震設計編」を基本とする旨を示しています。ただし同技術指針は戸建て住宅等の宅地を対象とし、震度5程度の中地震を想定したものです。学校施設で想定する地震動や目標とする性能は、設計者・構造設計者および防災担当部局と協議のうえ設定する必要があります。
Q. ハザードマップで液状化の傾向が「弱い」となっていれば、調査は省略できますか。
A. 省略できるとは言えません。国土交通省は「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」について、250mメッシュ内で面積比率の大きい微地形から作成しているため人工改変地の詳細な位置までは反映されておらず、発生傾向が弱い区域でも、その中の埋立地等の特定地点では地震時に液状化が発生する可能性があると明記しています。また同図は特定の地震や震度を考慮したものではないとされています。広域の傾向把握には有効ですが、敷地単位の判定を代替するものではありません。
まとめ|地盤の情報は、配置・基礎・工事費を同時に決める
学校の地盤調査は、単なる「設計の前工程」ではありません。どこに建てるか(配置)、どう支えるか(基礎形式)、いくらかかるか(概算工事費)という、事業の骨格にあたる3つの判断を同時に規定します。だからこそ、工程の前半に置き、目的を明確にして発注する価値があります。
要点を3つに絞ります。第一に、基礎に関する法令の骨格を押さえること。施行令第38条が基礎の性能と「異なる構造方法の基礎を併用しない」ことを、第93条が調査に基づいて許容応力度を定めることを求めています。第二に、N値を単独で見ないこと。土質、層の連続性、地下水位、建物条件とセットで、構造設計者の判断に委ねる領域だと理解しておくことが、庁内の議論を健全にします。第三に、液状化を見据えるなら仕様を先に決めること。深度20m程度の調査と粒度試験までを仕様に入れておかないと、追加調査で工程が後退します。
そして、既存の公開データベースと庁内資料を先に洗い出すこと。KuniJibanや国土地盤情報データベース、重ねるハザードマップ、J-SHISといった無償の情報は、調査計画そのものの精度を上げてくれます(2026年8月時点)。
株式会社光建舎は、一級建築士事務所(運営:株式会社ウイングスペース)として、学校・教育施設の改修に特化した実績とノウハウを全国で積み重ねてきました。調査・設計・施工までワンストップで対応し、在校中でも止めない安全・工程管理と、補助金・交付金の活用支援を含めた上流からの伴走を強みとしています。統合校舎の新築や増築に向けた地盤調査の計画、発注仕様の組み立て、調査結果を踏まえた配置・基礎の検討などでお悩みの際は、学校の地盤調査から基礎計画・設計・施工までを光建舎に相談することをご検討ください。論点の整理からご一緒します。