統合校のICT環境整備|GIGAスクールの通信・電源・無線LANを施設側から整える【2026年版】

「統廃合と大規模改修を機に、校内の無線LANも電源も配線も一気に整えたい。ただ、GIGAスクール構想のどこまでが端末で、どこからが施設整備なのか、費用も工程も切り分けられない」——学校統合の担当課で、こうしたお悩みを抱えていませんか。端末は都道府県の共同調達で進む一方、それを支える校内ネットワークや電源、充電環境の整備は施設側の仕事として自治体に残ります。ここが曖昧なまま設計を進めると、開校後に「電源容量が足りない」「動画が固まる」といった不具合が表面化しがちです。

この記事では、統合や改修を機に整える「学校のICT環境」を、教育論ではなく施設整備の実務(校内無線LAN・校内配線・電源・大型提示装置・充電保管庫・通信回線)に絞って整理します。GIGAスクール構想と第2期(NEXT GIGA)の枠組み、整備項目の一覧、進め方の手順、つまずきやすい落とし穴、国の支援制度との関係までを、文部科学省の一次資料にもとづいて解説します。

私たち光建舎(KOKENSHA)は、学校・教育施設の改修を軸に、調査・設計・施工までワンストップで全国対応してきた建設会社です。統合や改修の計画段階から、統合校のICT環境整備の進め方を光建舎に無料で相談することができます。なお本記事の制度内容は2026年7月時点の公表情報にもとづきます。補助制度や標準仕様は改定されるため、最終確認は必ず最新の要綱・仕様書と所管部局へお願いします。

統合校のICT環境整備とは

統合校のICT環境整備とは、1人1台端末を安定して使える校内環境を、通信ネットワーク・電源・提示装置・充電環境といった「施設側のハード」として整えることです。 端末そのものの調達とは切り分けて考えるのが実務上のポイントになります。

GIGAスクール構想では、端末と通信ネットワークを一体的に整備することが前提とされています(出典:文部科学省「GIGAスクール構想について」)。このうち端末は、第2期に向けて都道府県単位の共同調達と基金で進む仕組みが整いました。一方で、その端末が教室で快適に動くための校内無線LAN、LAN配線、ネットワーク機器や充電保管庫の電源、大型提示装置、外部との通信回線は、多くが施設整備として学校設置者(自治体)の責任範囲に残ります。

統廃合や大規模改修は、この施設側のICT環境を一度に見直せる数少ない機会です。壁や天井を開ける工事とネットワーク配線・電源工事を同じ工程に載せられるため、後から追加工事を繰り返すよりも、手戻りと費用を抑えやすいと考えられます。逆に、この機会に整理し損ねると、開校後の運用に長く影響します。教育の中身(授業デザインや端末活用)は別の担当が担うとしても、それを下支えする「箱と配線と電源」を誰がいつ整えるかは、施設担当が主導して決める領域だといえます。

GIGAスクール構想と第2期(NEXT GIGA)の枠組み【2026年7月時点】

GIGAスクール構想とは、1人1台端末や高速大容量の通信ネットワーク等の学校ICT環境を整備・活用することで、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現しようとする国の施策です(出典:文部科学省「GIGAスクール構想について」)。 施設整備の前提として、まず制度の骨格を押さえておきます。

第1期(令和元年度補正予算〜)で、1人1台端末と校内通信ネットワークの整備が全国で一気に進みました。その結果、施設面の到達点は次のようになっています(出典:文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」令和6年3月1日現在)。

  • 児童生徒1人当たりの学習者用コンピュータ台数:1.1台/人(平成31年3月は0.2台/人)
  • 普通教室の無線LAN整備率:96.2%(同41.0%)
  • インターネット接続(1Gbps以上)の学校:81.0%
  • 普通教室の大型提示装置整備率:89.6%(同52.2%)
  • 統合型校務支援システム整備率:91.4%(同57.5%)

そして現在進行しているのが、第2期(いわゆるNEXT GIGA)の端末更新です。国は令和5年度補正予算で「GIGAスクール構想加速化基金」を各都道府県に造成し、義務教育段階の端末整備・更新を支援しています(出典:中央教育審議会「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」令和6年7月)。要点は次のとおりです。

  • 端末の補助基準額は1台当たり5.5万円、補助率は3分の2(予備機15%分を含む児童生徒全員分が対象)。地方負担分の3分の1には令和6年度の地方交付税措置が講じられています。
  • 端末は令和10(2028)年度までの5年間をかけて更新される見込みです。
  • 原則として都道府県単位の共同調達によることが、基金からの補助を受ける要件とされています。
  • 端末が満たすべき仕様は「GIGAスクール構想の実現 学習者用コンピュータ最低スペック基準」(令和6年4月17日)として示されています。

ここで施設担当が意識したいのは、基金の対象は端末や付属物品が中心で、校内ネットワークの配線・電源・充電環境そのものを恒久的に負担する制度ではないという点です。同取りまとめでも、高速ネットワークは個別最適・協働的な学びに不可欠でありながら、当面の推奨帯域を満たす学校は2割程度にとどまると指摘されています。端末は新しくなっても、それを流すネットワークと電源が古いままなら活用は進みません。統合・改修は、この施設側の遅れを取り戻す好機だと位置づけられます。

統合・改修で整えるICT環境の整備項目【一覧表】

統合校で施設側が整えるICT環境は、大きく6項目に整理できます。 それぞれ「何を」「どんな標準で」整えるのかを一覧にしました(整備標準の出典:文部科学省「GIGAスクール構想の実現 標準仕様書」令和2年3月3日、および「学校のネットワーク改善ガイドブック」令和7年6月改定)。

整備項目 主な内容 施設側で押さえる標準・目安
校内無線LAN(無線AP) 各教室・特別教室・体育館等へのアクセスポイント設置 原則1教室に1台。同時接続数を機種で確保。天井・壁への設置と電波干渉調査
校内LAN配線 幹線・支線ケーブル、情報コンセント、ネットワーク機器 幹線は原則カテゴリー6A(Cat6A)以上または光ファイバ(最大10Gbps対応)
電源設備 無線AP・スイッチ用電源、教室コンセント、分電盤 AP給電はPoE/PoE+(IEEE802.3af/at)を活用。機器用電源工事、分電盤の増設要否を確認
大型提示装置 電子黒板・プロジェクター・実物投影装置 1人1台端末環境で必要とされる周辺機器(引き続き整備が求められる)。設置壁面の補強・電源・信号配線を伴う
充電保管庫 端末の充電・保管キャビネット 学校では22台・42台仕様が多い。PSEマーク品、施錠、輪番充電機能。消費電力と供給電源容量の整合
通信回線 学校から外部(インターネット)への回線 1Gbpsを基本に、ギャランティ/ベストエフォートを同時接続数で選択。契約帯域の見直し

このうち、施設工事として重量が大きいのは配線・電源・大型提示装置の設置です。とくに電源は、充電保管庫・大型提示装置・無線APが同時に電力を消費するため、教室単位・フロア単位・学校全体で電力容量を積み上げて確認する必要があります(出典:文部科学省「標準仕様書」)。標準仕様書でも、充電保管庫の消費電力の合計が設置場所の供給電源容量を超える場合は、電源容量の増設工事を別途行う必要があると明記されています。

現場では、「端末は届いたのに、教室のコンセントが足りず延長タップだらけになった」「充電保管庫を置いたら夕方にブレーカーが落ちた」といったご相談が、統合後の運用が始まってから寄せられることがあります。改修設計の段階で電源計画とネットワーク計画を重ねておくことが、こうした後追い工事を防ぐ近道です。統合の基本計画づくりから施設整備をどう組み込むかは、別記事「統合校舎の新築費用はいくら?面積算定と単価の考え方」や「校舎は改修・建替え・統合のどれを選ぶ?判断フローと検討材料の整理」もあわせてご覧ください。

統合・改修を機にICT環境を整える手順

ICT環境の施設整備は、「配線を敷いてから考える」のではなく、統合の設計と並行して逆算で進めるのが基本です。 標準的な流れを番号で整理します。

  1. 現況を把握する(ネットワークアセスメント・電源調査)。 既存校の通信速度・校内LAN・分電盤の余力を調べます。不具合の原因特定にはネットワークアセスメントが有効とされています(出典:文部科学省「学校のネットワークの改善について」)。
  2. 統合後の使い方から必要量を見積もる。 統合により1教室あたりの端末台数や学級数が変わります。同時利用を前提に、教室ごと・フロアごと・学校ごとの必要帯域を積み上げます。
  3. 通信回線の契約を見直す。 必要な帯域を満たす回線契約が前提になります。地域で選べる通信サービスは「教育DXサービスマップ(通信分野)」でも比較できます(出典:文部科学省「学校のネットワーク環境整備」令和7年2月追加)。
  4. 校内LAN・電源の設計を改修設計に統合する。 幹線はCat6A以上または光ファイバ、APは各教室1台を基本に、電源工事と一体で図面化します。壁・天井を開ける改修工程に配線・電源工事を載せます。
  5. 大型提示装置・充電保管庫の設置条件を確定する。 設置壁面の補強、電源位置、消費電力の合計を確認し、必要なら分電盤・電源容量を増設します。
  6. 端末調達(共同調達)と工程を合わせる。 端末は都道府県の共同調達で入るため、その納入時期に校内環境が間に合うよう、施設工事の工程を逆算します。
  7. 試験・検収を行う。 敷設したLANケーブルの伝送試験や通信速度の実測で、仕様どおりの性能が出ているかを確認します。施工品質が低いと規格どおりの速度が出ないことがあるため、測定結果を検収の根拠にします(出典:文部科学省「標準仕様書」)。

在校生がいる校舎での改修や、統合で使う既存校舎の改修では、この工程を夏休みなどの長期休業や、学期の区切りに合わせて分割することが多くなります。授業を止めずに配線・電源工事を進める段取りは、施設側のノウハウが問われる部分です。工程の組み方に不安がある段階から、在校中でも止めない工程を前提に統合校のICT整備を光建舎に相談することで、設計と施工の両面から現実的な計画に落とし込めます。

施設側で見落としやすい3つの落とし穴

同じICT整備でも、施設側の詰めが甘いと、開校後に「使えない」不具合として表面化します。 現場でとくに多い3つの落とし穴を挙げます。

電源容量の不足。 充電保管庫・大型提示装置・無線AP・空調が同時に動くと、教室やフロアの電力が想定を超えることがあります。輪番充電機能付きの充電保管庫でも、契約電力や分電盤の容量を超える場合は増設工事が必要になるとされています(出典:文部科学省「標準仕様書」)。改修設計の初期に、ICT機器を含めた電力の総量計算をしておくことが重要です。

帯域(速度)の見落とし。 無線LANの整備率が高くても、外部回線や校内幹線がボトルネックだと、クラス一斉利用で動画が固まります。学習活動ごとの使用帯域の目安として、遠隔授業(テレビ会議)が1台あたり約2.0Mbps、NHK For Schoolが約0.7Mbps、YouTube(HD720p画質)が約2.5Mbpsとされており(出典:文部科学省「標準仕様書」)、同時利用台数を掛け合わせると必要帯域が見えてきます。回線契約・幹線・APの3点をセットで確認するのが定石です。

工程と調達のズレ。 端末は都道府県の共同調達スケジュールで入ってくるため、校内のネットワーク・電源工事が間に合わないと、端末があっても使えない期間が生じます。統合のスケジュール全体のなかでICT工事の位置づけを決めておく必要があります。統合の期間設計は、別記事「学校統廃合のスケジュールと期間」も参考になります。

なお、学校のネットワーク改善は国も後押ししています。令和6年8月29日には、文部科学大臣・総務大臣・デジタル大臣の連名で、電気通信事業関連4団体に対し、学校が高速な通信サービスを適切に選べるよう協力要請が行われました(出典:文部科学省「学校のネットワーク環境整備」)。回線の選択肢は広がりつつあり、施設整備と通信契約の見直しを同時に進める環境が整ってきていると考えられます。

ICT整備に使える国の支援制度と施設整備の関係

施設側のICT整備は、端末の基金とは別の制度で支えられてきました。制度ごとに対象範囲が違うため、混同しないことが資金計画の出発点です。 2026年7月時点での整理を示します。

第1期の校内通信ネットワーク整備は、端末とは別建ての「公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金」で措置されました。これは令和元年度・令和2年度の補正予算により措置され、補助率は2分の1でした(出典:文部科学省「学校施設環境改善交付金事業における校内ネットワーク整備について」)。校内LANの幹線・支線ケーブル、情報コンセント、無線AP、電源キャビネット(充電保管庫)、クラウド環境等構築などが補助対象とされていました(出典:文部科学省「GIGAスクール構想の実現に関する補助事業の概要」)。

第2期の端末更新は、前述のとおり「GIGAスクール構想加速化基金」(都道府県に造成、補助率3分の2)で進みます。ただし、これは端末・付属物品・予備機などが中心で、校舎の配線・電源工事そのものを恒久的に賄う制度ではない点に注意が必要です。

そして、統合や改修に伴う校舎側の工事は、「学校施設環境改善交付金」(義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第12条にもとづく交付金)の対象になる場合があります。たとえば学校統合に伴う既存施設の改修は算定割合が2分の1、内部環境改善などの大規模改造(質的整備)は原則3分の1とされています(出典:文部科学省「学校施設環境改善交付金交付要綱」)。ICT配線や電源工事を、これらの改修メニューの一部として整理できるかは、工事の内容と時期により所管部局への確認が必要です。断定はできませんが、統合改修の設計段階で「どの工事を、どの制度に載せるか」を早めに詰めておくことで、資金計画のズレを防ぎやすくなります。

制度の全体像と選び方は、別記事「学校統廃合で使える補助金・交付金の一覧」および「学校施設環境改善交付金とは?対象事業・補助率・申請の流れ」で詳しく解説しています。どのメニューにどの工事を載せるかは、設計に入る前の意思決定で決まる論点が多いため、統合方針と施設整備を並行して詰めることをおすすめします。

よくある質問

Q. GIGAスクール構想の「端末」と「施設のICT整備」は、担当も予算も別ですか?
A. 一般に、端末は第2期の基金・共同調達で情報・教育部門が主体となり、校内ネットワークの配線・電源・充電環境・提示装置は施設整備として施設担当が担うことが多くなります。ただし自治体により所管の分け方は異なるため、統合の初期に「どの工事を誰が担うか」を整理しておくことが実務上大切です。文部科学省の取りまとめでも、施設・設備担当だけでなく教育指導や学務の担当と一体で取り組むことが求められるとされています(出典:文部科学省「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」)。

Q. 統合で既存校舎を使う場合、校内LANは新設し直す必要がありますか?
A. 既設のLAN配線やネットワーク機器がある場合、可能な限り有効活用することで調達費を抑えられるとされています(出典:文部科学省「標準仕様書」)。一方で、既設機器との整合には専門的な検討が必要とされているため、現況調査(アセスメント)で使える部分と更新すべき部分を切り分けることをおすすめします。

Q. 校内LANのケーブルはどの規格を選べばよいですか?
A. 幹線部分は、原則として10Gbpsに対応するカテゴリー6A(Cat6A)以上のケーブル、または光ファイバの敷設が示されています(出典:文部科学省「標準仕様書」)。LANケーブルは耐用年数が長く容易に変更できないため、将来の同時利用を見据えた規格選定が望ましいとされています。

Q. 充電保管庫を置いたら電力が足りるか不安です。
A. 充電保管庫は、端末充電時の消費電力の合計が設置場所の供給電源容量を超える場合があり、その際は電源容量の増設工事が必要になるとされています(出典:文部科学省「標準仕様書」)。輪番充電機能付きの機種でも、大型提示装置やAPを含めた校内全体の電力を考慮した調整が求められます。改修設計の段階で分電盤の余力を確認しておくと安心です。

Q. 通信回線が遅い場合、まず何をすべきですか?
A. まずはネットワークアセスメントで不具合の原因を特定し、必要な帯域を満たす通信契約に見直すことが前提とされています(出典:文部科学省「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」)。そのうえで、校内幹線やAPの改善が必要かを判断します。回線・校内LAN・機器のどこがボトルネックかを切り分けることが第一歩です。

まとめ:端末は共同調達、施設は改修の設計で決まる

統合校のICT環境整備は、GIGAスクール構想の枠組みのうち、「端末を支える施設側のハード」を整える仕事です。端末は第2期(NEXT GIGA)の基金と都道府県の共同調達で進みますが、校内無線LAN・LAN配線・電源・大型提示装置・充電保管庫・通信回線の整備は、多くが学校設置者の施設整備として残ります。

そして、これらは壁や天井を開ける改修工事と一体で進めるのが最も効率的です。電源容量、必要帯域、端末調達との工程——この3点を改修設計の初期に重ねておくことが、開校後の「使えない」を防ぎます。制度面では、第1期の校内ネットワーク補助(補助率2分の1)、第2期の加速化基金(補助率3分の2)、統合改修を支える学校施設環境改善交付金が、それぞれ別の対象範囲で用意されています。どの工事をどの制度に載せるかは、設計前の意思決定で決まる論点が多いといえます。

光建舎は、学校・教育施設の改修を軸に、調査・設計・施工までワンストップで全国対応してきました。在校生がいる環境での工程管理や、統廃合の上流からの受託にも取り組んでいます。ネットワークと電源をどう改修計画に組み込むか、どの制度と接続させるか——検討の入り口の段階からで構いません。統合・改修を機にICT環境の整備計画を光建舎の無料相談で整理することで、施設と制度の両面から現実的な進め方に落とし込めます。

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