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廃校活用が失敗する原因は何か?【2026年版】撤退・空室・赤字に至る5つの型

廃校活用は、うまくいっている例ばかりが紹介されます。

カフェになった校舎、宿泊施設になった体育館、企業の研修所になった小学校。成功事例は記事になり、視察が来ます。

一方で、使われないまま残っている廃校のほうが数としては多く残っています。そして一度活用が始まった後に撤退した例は、ほとんど記録に残りません。

止まる場所には共通点があります。先に知っておけば避けられるものもあります。

この記事では、①未活用の実態、②5つの失敗の型、③なぜ繰り返されるのか、④避ける方法、⑤撤退の設計、の5点を整理します。

この記事の要点

  • 文部科学省の調査(令和6年5月1日現在)では、施設が現存する廃校7,612校のうち活用されていないものが1,951校ある
  • 校舎で活用用途が決まっていない理由は、建物の老朽化が46パーセント、地域等からの要望がないが42パーセント、財源が確保できないが19パーセント(令和3年5月1日現在)
  • 失敗は、条件、収支、合意、担い手、出口の5つに分けられる
  • 公募が不調になる原因の多くは、条件を決める段階にある
  • 撤退時の処理を決めていないと、自治体に建物が戻ってくる

未活用の廃校はどれくらいあるのか?

4校に1校です。

文部科学省の廃校施設活用状況実態調査(令和6年5月1日現在)によれば、廃校の累計は8,850校、施設が現存するものが7,612校、そのうち活用されているのが5,661校で74.4パーセントです。活用されていないものは1,951校、25.6パーセントあります。

区分 校数
廃校の累計 8,850校
施設が現存する廃校 7,612校
活用されている 5,661校(74.4パーセント)
活用されていない 1,951校(25.6パーセント)

活用率74.4パーセントという数字は、見方によっては高く見えます。ただし分母から1,238校が消えている点に注意が必要です。この差は、すでに取り壊された施設です。

活用されない理由

同調査の令和3年5月1日現在の集計では、校舎について活用の用途が決まっていない理由として、建物の老朽化が46パーセント、地域等からの要望がないが42パーセント、財源が確保できないが19パーセントと示されています。

老朽化と要望のなさが2大要因です。この2つは、閉校してから対処できるものではありません。

廃校活用の全体像は廃校活用の事例と進め方は?にまとめています。

失敗の型1:条件が市場と合っていない

公募をかけて応募がゼロになる型です。

症状 原因
応募がゼロ 賃料、期間、改修費負担の組み合わせが成立しない
1社だけ応募 競争が働かず、条件の妥当性が検証されない
質の低い提案だけ 判断材料が不足し、本気の事業者が降りた

庁内では合理的に決めたつもりでも、民間から見ると事業が成り立たないことがあります。改修費を全額事業者に負わせたうえで賃料を相場並みにし、契約期間を5年にする。この組み合わせでは誰も投資を回収できません。

避けるには、公募の前に民間の意向を聞くことです。廃校活用のサウンディング型市場調査とは?で進め方を扱っています。

失敗の型2:収支が成り立たない

始まった後に赤字が続く型です。

見落とされる費用 内容
電気の基本料金 契約電力で決まる。使わなくても毎月かかる
法定点検 建物全体にかかる。使う範囲とは無関係
大規模修繕 15年から20年で必ず来る
人件費 小規模な施設ほど比率が高い
使わない棟の維持 部分活用の場合

校舎は床面積が大きく、使わない部分にも費用がかかります。使うのが3割でも、費用は3割になりません。

収入では来館者数の見積りが外れます。開業初年度は話題性で数字が出ても、2年目以降に落ちます。3年目の数字で成立するかを見ないと、3年目に行き詰まります。

収支の組み立て方は廃校活用の収支計画はどう立てるのか?で扱っています。

失敗の型3:地域の合意が取れていない

近隣から反対が出て止まる型です。

学校は地域の中心にあった施設です。卒業生が住んでいて、避難所に指定されていて、運動会や地域の行事の場でもありました。

その建物が民間の施設に変わることへの抵抗は、法令では処理できません。

反対が出やすい論点 内容
用途そのもの 宿泊、飲食、工場など、想像していなかった用途
交通量の増加 住宅地での来客、搬入車両
騒音・臭気 営業時間、設備の運転音
グラウンドの使用 地域が使っていた場所が使えなくなる
避難所機能 災害時にどうなるのか
校舎の解体 残してほしいという感情

グラウンドと避難所は、実務でとくにもめます。校庭を地域のスポーツ団体が使っていた場合、それが使えなくなることへの反発は強くなります。

説明の順番を間違えない

事業者が決まってから地域に説明すると、「もう決まったことを押し付けられた」という受け止めになります。活用の方向性を検討している段階で、地域に相談する形を取ってください。

失敗の型4:担い手が続かない

数年は回るが、その後に止まる型です。

地域団体やNPOが運営を担う形は、廃校活用では多く取られます。地域の実情を知っていて、使い方も地域に合います。

一方で、組織としての脆さがあります。

止まる原因 内容
代表者への依存 熱意のある1人が抜けると回らなくなる
高齢化 立ち上げた世代が10年後に続けられない
無償の労力が前提 人件費を計上していないため、担い手が疲弊する
収入源が補助金のみ 補助が切れた年に止まる
次の世代に引き継げない 若い担い手が入る設計になっていない

立ち上がりの熱量で3年は回ります。問題はその後です。最初から人件費を計上し、代表者が交代しても続く形にしておく必要があります。

失敗の型5:出口が決まっていない

撤退時に自治体が困る型です。

事業者が撤退したら、建物はどうなるか。原状回復を求めるのか、現状のまま返してもらうのか、解体まで求めるのか。これを契約で定めていないと、改修された建物がそのまま返ってきます。

想定すべき場面 決めておくこと
事業者の撤退 原状回復の範囲、解体の責任
事業者の倒産 残置物の処理、明渡しの手続き
契約期間の満了 更新の可否、終了時の状態
用途の変更 承諾の要否
転売・転貸 制限と承諾

解体まで求めるなら、その費用を担保する仕組みが要ります。保証金か、保証人か。書かないと、撤退時に自治体が解体費を負担することになります。

公募要項でのリスク分担は廃校活用の公募要項はどう作るのか?で扱っています。

なぜ同じ失敗が繰り返されるのか?

記録が残らないためです。

成功事例は公表され、視察を受け入れ、記事になります。失敗した事例は公表されません。撤退した事業者も、失敗を語りません。

その結果、次に取り組む自治体が参考にできるのは成功事例だけになります。そして成功事例には、その裏にあった条件が書かれていないことが多くあります。賃料がいくらだったか、改修費を誰が出したか、何年目から黒字になったか。

視察に行くなら条件を聞く

先進事例の視察で見るべきは、きれいに改修された空間ではありません。

  • 改修費はいくらで、誰が負担したか
  • 賃料または指定管理料はいくらか
  • 契約期間は何年か
  • 年間の維持費はいくらか
  • 何年目で収支が合ったか
  • 当初の計画と実績はどれくらい違うか

この6つを聞いて帰ってください。空間の写真を撮って帰るだけでは、自分の案件の判断材料になりません。

どう避けるのか?

順番を守ることです。

順序 内容 飛ばすと起きること
1. 施設の調査 耐震、石綿、設備、法適合 費用が読めず条件が決まらない
2. 庁内の方針決定 公共利用の可能性、改修費の負担 要項が書けない
3. 地域への相談 方向性の段階で意見を聞く 事業者決定後に反対が出る
4. サウンディング 民間の意向を聞く 公募が不調になる
5. 条件の決定 聞いた内容を反映 市場と合わない条件になる
6. 公募 判断材料を揃えて出す 質の低い提案しか来ない
7. 契約 撤退時の処理まで定める 出口で自治体が負担を負う

3と4を飛ばす自治体が多くあります。時間がかかるからです。しかし不調になってやり直すほうが、結果として時間がかかります。

活用しないという判断も結果の1つ

調査の結果、老朽化が進んでいて改修費が見合わない。地域にも民間にも需要がない。この場合、解体して敷地として活用する判断が合理的です。

未活用のまま維持費を払い続ける状態が、一番費用を食います。活用できないと分かった時点で、解体の方向に切り替えてください。

失敗の多くは着工前に決まっている

5つの型を並べると、共通点が見えます。条件、収支、合意、担い手、出口。どれも、改修工事の内容ではなく、その前の検討で決まる項目です。

改修の設計や工事の品質で失敗することは、実際には少ないほうです。建物は仕様どおりに仕上がり、引渡しも済む。それでも2年後に空いているのは、使う側の条件が最初から成り立っていなかったからです。

だからこそ、検討の初期に時間をかける意味があります。サウンディングで事業者の条件を聞き、収支を試算し、地域に説明し、担い手の体制を確認し、撤退時の扱いを決める。この順序を飛ばして改修に進んだ案件が、後で止まります。

よくある質問

Q. 活用されていない廃校はどれくらいありますか。

A. 文部科学省の調査(令和6年5月1日現在)では、施設が現存する7,612校のうち1,951校、25.6パーセントが活用されていません。

Q. 活用されない理由は何ですか。

A. 同調査(令和3年5月1日現在)では、校舎について建物の老朽化が46パーセント、地域等からの要望がないが42パーセント、財源が確保できないが19パーセントです。

Q. 公募が不調になる原因は何ですか。

A. 条件が市場と合っていないか、判断材料が不足しているかのどちらかです。公募期間を延ばしても解決しません。

Q. 地域の反対はどう避けますか。

A. 事業者が決まってからではなく、方向性を検討している段階で相談してください。グラウンドと避難所機能がとくにもめます。

Q. 先進事例の視察で何を聞くべきですか。

A. 改修費と負担者、賃料、契約期間、年間の維持費、黒字化した年、計画と実績の差です。

Q. 活用をあきらめる判断はありですか。

A. あります。未活用のまま維持費を払い続ける状態が一番費用を食います。

まとめ

文部科学省の調査(令和6年5月1日現在)では、施設が現存する廃校7,612校のうち1,951校、25.6パーセントが活用されていません。校舎で活用用途が決まっていない理由は、建物の老朽化が46パーセント、地域等からの要望がないが42パーセント、財源が確保できないが19パーセントです。

失敗は5つの型に分けられます。条件が市場と合わず公募が不調になる型、収支が成り立たず赤字が続く型、地域の合意が取れず止まる型、担い手が続かない型、撤退時の処理が決まっておらず自治体に戻る型です。

同じ失敗が繰り返されるのは、記録が残らないためです。成功事例だけが公表され、その裏にあった条件は書かれません。視察に行くなら、空間ではなく条件を聞いてください。改修費と負担者、賃料、契約期間、年間の維持費、黒字化した年。

避ける方法は順番を守ることです。施設の調査、庁内の方針決定、地域への相談、サウンディング、条件の決定、公募、契約。地域への相談とサウンディングを飛ばす自治体が多いですが、不調になってやり直すほうが時間がかかります。

そして活用しないという判断も結果の1つです。未活用のまま維持費を払い続ける状態が、一番費用を食います。

参考・出典

記載の数値は公表時点のものです。活用率および未活用の理由の集計は調査時点により異なります。個別の判断は施設の状況と地域の事情に応じて行ってください。

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