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学校の外壁・屋上の改修に補助金は使えるか?

剥落防止・落下防止・耐震補強に分けて見える、私立学校の補助メニュー

「外壁のタイルが浮いていると点検で指摘された。屋上の防水も古い。まとめて直したいが、補助金は使えないか」。私立学校の事務局が、こうした相談を受けることがあります。

外壁と屋上の改修は、タイルやモルタルの剥落防止、屋根材の落下防止、防水の更新、塗装の塗り替えなど、目的の違う工事の組み合わせです。国の補助の対象になるのは、このうち「落ちてくる危険を取り除く工事」で、古くなったものを新しくする工事ではありません。

この線引きを先に押さえておくと、どこまでを補助に乗せられるか、どこからが学校法人の負担になるかが見えてきます。

この記事では、私立の小学校・中学校・高等学校と専門学校を対象に、外壁と屋上の工事のどこが補助の対象になり得るかを、文部科学省の令和8年度の募集資料をもとに整理します。

この記事の要点

  • 外壁タイル・モルタル・ALC板などの剥落防止、屋根材の落下防止は、非構造部材の耐震対策で補助率1/3以内、下限なし、上限2億円
  • 対象になるには、大講義室・屋内運動場・講堂などがある建物か、耐震補強工事と同時に行うことが必要
  • 落下や剥落の危険を示す根拠資料が必要で、主な目的が単なる老朽改善や維持管理の工事は対象外
  • 屋上防水だけの改修は募集の対象に含まれない。耐震補強の軽量化として露出防水にする場合などに限り対象になり得る
  • LED化や省エネの区分(エコキャンパス推進事業)は令和8年度の募集に含まれず、令和9年度に向けた実施計画調査の対象

外壁・屋上改修の補助金とは何か?

外壁・屋上改修の補助金とは、外壁や屋根の工事のうち、国や自治体の補助メニューの要件に当てはまる部分に交付される補助のことです。外壁や屋上を新しくすること自体を目的にした補助はありません。

私立の小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校は、文部科学省の私立学校施設整備費補助金のうち「私立高等学校等施設高機能化整備費」で申請します。専門学校(専修学校)は専修学校関係の枠です。いずれも都道府県の私学担当課を経由します。制度全体は私立学校施設整備費補助金の全体像|対象事業と補助率の読み方で整理しています。

外壁と屋上の工事はどの補助メニューに当てはまるか?

外壁と屋上の工事で補助の対象になり得るのは、剥落・落下の防止と、耐震補強に伴う工事です。令和8年度の私立高等学校等施設高機能化整備費の募集通知をもとにまとめると、次のとおりです。

外壁・屋上の工事当てはまる補助メニュー補助率下限額・上限額
外壁タイル・モルタル・ALC板の剥落防止非構造部材の耐震対策1/3以内(耐震補強と一括応募なら耐震補強の率も可)下限なし、上限2億円
瓦などの屋根材の落下防止非構造部材の耐震対策同上下限なし、上限2億円
屋上の防水保護コンクリートを撤去して露出防水にする(軽量化)耐震補強工事原則1/3以内(Is値0.3未満等は1/2以内)下限400万円
屋上フェンス・塔屋・庇の撤去(軽量化)耐震補強工事同上下限400万円
吹付けアスベストの除去・封じ込めに伴う外装工事アスベスト対策1/3以内下限・上限なし
屋上防水の更新、外壁の塗り替え該当なし——

外壁と屋上の工事の進め方や工法は、学校施設の外壁改修とは?工法・タイミング・進め方を専門会社が解説と、学校施設の屋上・屋根防水とは?工法・耐用年数・進め方を解説で説明しています。

外壁の改修はどんな場合に補助の対象になるか?

外壁やその仕上げ材の剥落・落下を防ぐ工事であれば、非構造部材の耐震対策として対象になり得ます。募集通知は、対象工事の例として、外壁やその仕上げ材(モルタル・タイル・ALC板等)の剥落・落下防止工事を挙げています。

ただし、建物と根拠資料について、次の要件があります。

  • 大講義室・屋内運動場・講堂など、児童生徒が日常的に使う室を有する建物であること、または耐震補強工事と同時に行うこと
  • 非構造部材の耐震対策が必要であることを示す資料(「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック」等に基づく点検結果など)を提出すること

落下や転倒の危険を示す根拠資料がないなど、必要性を合理的に説明できない場合は対象外です。点検結果には、どの面のどの範囲に浮きやひび割れがあり、落下した場合にどこに危険が及ぶかが分かる形で記録を残しておくと、申請の説明に使いやすくなります。また、主な目的が単なる老朽改善や維持管理にあると判断される工事も対象外とされています。

耐震補強に伴う外装工事との違い

耐震補強工事でも、補強壁を設ける面の外装工事は対象になり得ます。ただし、募集通知は、仕上げの剥落防止だけを目的とした補修をこの枠から除いています。剥落防止を目的にするなら、非構造部材の耐震対策で申請することになります。

屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策は、空調や校内LANに応募する際の要件にもなっています。体育館の空調を計画している学校では、天井の落下防止と一緒に外壁の剥落防止も整理しておくと、計画がまとまりやすくなります。この考え方は学校の体育館改修に補助金は使えるか?で詳しく書いています。

屋上防水だけの工事に補助は出るか?

原則として出ません。令和8年度の募集通知には、屋上防水の改修そのものを対象とする区分がありません。

例外は耐震補強に伴う場合です。耐震補強による建物重量の低減として、既存の屋上防水保護用コンクリートを撤去し、露出防水とする場合などが対象に挙げられています。構造計算で耐震性の向上が明確な場合に限られます。屋上フェンス・塔屋・庇の撤去も、軽量化を目的とするものは対象です。

屋根については、瓦などの屋根材の落下防止工事が非構造部材の耐震対策の対象です。古くなった屋根の葺き替えは、落下の危険を示す根拠がなければ、老朽改善として扱われる可能性が高い部分です。

法定の外壁調査は補助とどう関係するか?

建築基準法第12条の定期調査で外壁の異常が見つかった場合、その結果は剥落の危険を示す資料の一つになり得ます。補助の根拠資料として使えるかは、都道府県の私学担当課で確認してください。

定期報告制度は、平成20年国土交通省告示第282号による改正で、外壁の全面打診等の調査が求められるようになりました(平成23年4月1日完全施行)。主な内容は次のとおりです。

項目内容
対象の外壁湿式のタイル張り、湿式の石張り、モルタル仕上げ(乾式工法のタイル・石張りは除く)
周期竣工後、外壁改修後、または全面打診等の実施後、おおむね10年以内
範囲落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分
除外直下に庇などの強固な落下物防御施設がある部分、歩行者の安全を確保する対策を講じている場合など

私立学校の定期報告の対象や周期は、所管の特定行政庁によって異なります。全面打診の時期が近い学校では、調査と補修の計画を補助の申請時期と合わせて組むと、根拠資料と工事を一続きで準備できます。

省エネや断熱、LED化はどうなるか?

令和8年度の募集では対象外です。LED化を含む省エネルギー型・省資源型や新エネルギー活用型は「エコキャンパス推進事業」の区分で、令和8年度の募集には含まれていません。

エコキャンパス推進事業は、令和9年度に事業着手を予定する事業の実施計画調査の対象になっています。この調査は令和9年度の予算規模を検討するためのもので、令和8年度の提出期限は4月17日でした。回答が応募を求めるものでも、採択を確約するものでもないとされています。外壁の断熱や屋上の遮熱を省エネの文脈で検討している場合は、翌年度以降の募集の動きを確認してください。

専門学校の外壁はどう違うか?

専門学校(専修学校)でも、外壁の仕上げ材の剥落防止は非構造部材の耐震対策の対象になり得ます。令和8年度の補助率は専門課程等で1/3(耐震化工事と併せて行い、Is値0.3未満等の場合は1/2)、下限は150万円です。高等課程は下限の設定がありません。

対象は、大講義室や屋内運動場、講堂、ホールなど、通路を除いて100平方メートル以上の空間を持つ施設とされています。ビル型の校舎の外壁が当てはまるかは、こうした空間の有無で変わるため、都道府県の私学担当部局に確認してください。耐震補強工事とあわせて行う非構造部材の耐震対策も対象になります。

補助を使うにはいつまでに何をするか?

前年度の秋から冬に点検結果をそろえ、工事内容と業者を決め、都道府県を通じて申請し、交付決定を受けてから契約・着工します。決定より前に着手した工事は対象外です。

令和8年度の私立高等学校等の募集は、4月以降に契約する事業について、都道府県経由で令和8年2月20日が提出期限でした。交付決定日以降に着手し、令和9年3月31日までに完了する事業が対象です。専修学校は文部科学省への到着で3月16日でした。業者の選定は原則入札で、やむを得ない場合は3者以上の見積によります。

外壁の工事は足場を組むため、校舎を使いながら進めるには工程の工夫が必要です。剥落防止と、補助の対象外になる塗り替えや防水の更新を同じ足場で行う場合は、見積の段階で補助の対象と対象外を分けておくと、申請書類が作りやすくなります。

よくある質問

Q. 外壁のタイルが浮いているだけでも補助の対象になりますか。

A. 剥落の危険を示す点検結果などの根拠資料があり、建物の要件を満たせば、非構造部材の耐震対策として対象になり得ます。見た目の劣化を直すことが主な目的と判断されると、老朽改善として対象外になります。

Q. 屋上防水と外壁の剥落防止を一緒に申請できますか。

A. 同じ足場で一緒に工事することはできますが、屋上防水の更新は補助の対象外です。見積で対象と対象外を分け、剥落防止の部分だけを申請します。

Q. 外壁の塗り替えは補助になりますか。

A. 塗り替えそのものを対象とする区分はなく、主な目的が維持管理と判断されれば対象外です。剥落防止の工事と同じ時期に行う場合は、見積で補助の対象と対象外を分けてください。

Q. 全面打診の調査費用は補助の対象になりますか。

A. 私立の小中高向けの令和8年度の募集通知では、全面打診の調査費用を対象とする記載は確認できません。専門学校では非構造部材の耐震点検が補助の区分にありますが、法定の全面打診がそれに当たるかは都道府県の担当部局に確認してください。

Q. 校舎に体育館も講堂もない場合はどうなりますか。

A. 非構造部材の耐震対策は、大講義室・屋内運動場・講堂などがある建物か、耐震補強工事と同時に行う場合が対象です。どちらにも当たらない校舎の外壁は、この枠では対象になりにくいと考えてください。

Q. 耐震補強とまとめて申請すると何が変わりますか。

A. 私立の小中高では、非構造部材の耐震対策を耐震補強工事と一括で応募すると、非構造部材の部分にも耐震補強工事の補助率を使えます。補強前のIs値が0.3未満などの場合は1/2以内になるため、外壁の剥落防止を単独で申請する1/3以内より有利になる場合があります。足場も一度で済みます。

まとめ

外壁と屋上の改修には、専用の補助メニューがありません。私立の小中高では、外壁タイル・モルタル・ALC板の剥落防止と屋根材の落下防止が、非構造部材の耐震対策(1/3以内、下限なし、上限2億円)の対象になり得ます。対象は、大講義室・屋内運動場・講堂などがある建物か、耐震補強と同時に行う工事で、危険を示す根拠資料が必要です。

屋上防水の更新や外壁の塗り替えなど、主な目的が老朽改善や維持管理の工事は対象外です。耐震補強の軽量化として露出防水にする場合などに限り、耐震補強工事(原則1/3以内、下限400万円)に含まれます。

専門学校では、剥落防止は専門課程等で1/3、下限150万円で、100平方メートル以上の空間を持つ施設が対象です。LED化などの省エネはエコキャンパス推進事業の区分で、令和8年度の募集には含まれていません。

参考・出典

本記事の制度・補助率・期限は公表時点の情報に基づいています。申請にあたっては、最新の募集要項と所管の都道府県私学担当課でご確認ください。

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