この記事は、学校施設の設計・施工を行う株式会社光建舎が作成しています。設計(ウイングスペース一級建築士事務所)から施工まで一社で対応し、専門学校・高校・自治体の学校施設を手がけています。

学校跡地の民間活用

更地の売却・定期借地・地域再生計画の進め方

統廃合の方針が固まり、校舎の解体まで見通しが立った。けれども「その後に残る土地をどうするか」だけが決まらない——自治体の施設担当・財政担当の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。校舎という「建物」の処分と、更地になった「土地」の活用は、根拠となる法令も、対話すべき民間事業者も、庁内で合意を取る相手も違います。ここを混ぜて議論すると、いつまでも方針が定まりません。

この記事では、校舎を解体した後の学校跡地(土地)に絞って、選べる出口の整理、定期借地権の使い分け、行政財産から普通財産への切り替え手続き、サウンディング型市場調査の進め方、土地固有の法令チェック、地域再生計画との連動までを、国土交通省・内閣府・文部科学省などの一次情報をもとに解説します(制度の内容は2026年8月時点のものです)。読み終えたとき、跡地活用の検討を「どの順番で、誰と、何を決めるか」まで落とし込める状態を目指します。

学校・教育施設の改修を軸に、調査・設計・施工までワンストップで対応している当社の現場知見も交えてお伝えします。跡地の現況整理や解体後の活用条件づくりでお困りの場合は、学校跡地の活用方針づくりから解体・整備までワンストップで相談するところから始めていただけます。

学校跡地の民間活用とは——「校舎の活用」と「土地の活用」を分けて考える

学校跡地の民間活用とは、統廃合などで役目を終えた学校の敷地を、売却・貸付・共同事業といった方法で民間事業者に委ね、地域に必要な機能や税収・雇用を生み出す取組のことです。ポイントは、校舎という建物を再生する「廃校活用」と、建物を除いた土地を動かす「跡地活用」が、別の検討であるという点にあります。

文部科学省の令和6年度廃校施設等活用状況実態調査によると、平成16年度から令和5年度までに発生した廃校は延べ8,850校。このうち施設が現存している廃校は7,612校で、活用中が5,661校、未活用が1,951校です。そして、施設が現存していない廃校が1,238校あり、未活用のうち213校は取壊し予定とされています(いずれも令和6年5月1日現在)。つまり、すでに1,200校を超える「土地だけが残った学校跡地」が全国に存在し、今後もその数は増えていく構図です。

同調査では、活用用途が決まっていない理由(校舎についての回答・複数回答)として「地域等からの要望がない」が903件(41.5%)、「建物が老朽化している」が902件(41.4%)と並んでいます。老朽化した校舎を抱えたままでは民間の関心が集まりにくく、解体して更地にする判断が現実的な選択肢になる——という流れが数字からも読み取れます。

ここで押さえておきたいのが、建物と土地では拠って立つ法令が違うということです。義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律では、「建物」とは校舎・屋内運動場・寄宿舎を指すと定義され(第2条第2項)、国が経費の一部を負担するのは「建物の建築に要する経費」です(第1条・第3条)。用地の取得費はこの国庫負担の対象に含まれていません。したがって、校舎を解体して更地にした跡地そのものは、同法系の補助を根拠とする財産処分手続きの土俵とは切り離して考えられる場合が多いといえます。ただし、他の補助金・交付金や地方債を用いて取得・造成した土地は個別の確認が必要ですので、財政部局と早い段階ですり合わせてください。

更地にした跡地で選べる5つの出口——まず全体像を並べる

跡地の出口は、大きく「売却」「定期借地による貸付」「自治体自らの活用」「暫定利用」「当面の保有継続」の5つに整理できます。最初にこの5択を並べ、消去法ではなく比較で選ぶことが、庁内合意を早める近道です。

いきなり「売却か貸付か」の二択に入ると、財政部局と地域振興部局で議論がかみ合わなくなりがちです。「所有権を手放すか」「収入は一時金か毎年か」「将来の使い道を残すか」という3つの軸で並べると、部局横断の共通言語ができると考えられます。

出口 所有権 収入の形 向いている状況 主な留意点
売却(普通財産の売払い) 民間へ移転 一時金 将来的に公共で使う予定がなく、維持管理負担を切りたい 一度手放すと取り戻せない。用途の縛りは契約条件で担保する
定期借地による貸付 自治体が保有 毎年の地代 数十年後に公共利用の可能性を残したい/地域の関与を続けたい 期間設定と原状回復条件の設計が要。類型により建物用途の制約あり
自治体自らの活用 自治体が保有 収入なし(歳出) 公園・防災空地・庁舎機能の再配置など公共需要が明確 整備費と維持費が継続的に発生する
暫定利用 自治体が保有 少額または無償 本格活用の方針が固まるまでの間、荒廃を防ぎたい 「暫定」が既得権化しないよう期限と撤去条件を明記する
当面の保有継続 自治体が保有 なし 周辺のまちづくり計画が動いており、時期を待つ判断 除草・防犯・境界管理のコストが積み上がる

なお、跡地の情報発信については、文部科学省の「みんなの廃校プロジェクト」に加えて、国土交通省の空き家・空き地バンク総合情報ページからも廃校の情報を検索できるとされています。庁内で決めた条件を、民間が探せる場所に置くところまでを一連の作業と考えてください。

定期借地権の3類型と学校跡地での使い分け

定期借地権とは、契約の更新がなく、期間満了により確定的に借地関係が終了する借地権のことです。借地借家法には一般定期借地権(第22条)、事業用定期借地権等(第23条)、建物譲渡特約付借地権(第24条)の3類型が定められており、跡地活用で選ぶ余地があるのは主にこの3つです。

学校跡地の実務でとくに注意していただきたいのが、事業用定期借地権は住宅に使えないという点です。借地借家法第23条は「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的」とする場合の規定であり、住宅供給を狙うなら一般定期借地権(存続期間50年以上)を選ぶことになります。「跡地に住宅を誘導したいが、期間は短めにしたい」という要望が、法律上そのままでは成立しないケースがあるわけです。

類型 根拠条文 存続期間 契約方式 学校跡地での使いどころ
一般定期借地権 借地借家法第22条 50年以上 特約は公正証書による等、書面(電磁的記録も可) 戸建・共同住宅などの住宅供給、長期の複合開発
事業用定期借地権等 借地借家法第23条 30年以上50年未満(第1項)/10年以上30年未満(第2項) 公正証書によることが必要(第3項) 商業・物流・医療福祉など非居住の事業施設
建物譲渡特約付借地権 借地借家法第24条 設定後30年以上を経過した日に建物を相当の対価で譲渡する特約 特約を定める 将来、建物ごと公共側に戻す想定がある場合

いずれの類型でも、更新がない・建物の築造による期間延長がない・建物買取請求をしないという特約を定められる点が普通借地権との違いです(第22条・第23条第1項)。ただし第23条第2項の10年以上30年未満の事業用定期借地権は、そもそも更新等に関する規定の適用が除外される構造になっており、条文の建て付けが異なります。契約書のひな形をそのまま流用せず、選んだ類型の条文に沿って設計してください。

貸す・売るの前に必ず通る手続き——行政財産から普通財産へ

学校の敷地は、供用中は行政財産です。そして地方自治法第238条の4第1項は、行政財産について「貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない」と定めており、これに違反する行為は無効とされています(同条第6項)。つまり、行政財産のままでは定期借地権の設定も売却もできません。

したがって手順としては、学校としての用途を廃止して普通財産に切り替えるところから始まります。普通財産になれば、貸付・交換・売払い・譲与・出資・私権の設定が可能になります(第238条の5第1項)。ここを飛ばして民間との条件交渉を進めてしまい、後戻りするケースは珍しくありません。

跡地を動かすまでの流れは、おおむね次の6ステップで整理できます。

  1. 跡地の現況整理:測量・境界確認、埋設物や既存インフラの位置、都市計画上の制限、周辺の通学路・避難所指定などを一覧化する。
  2. 上位計画との整合確認:公共施設等総合管理計画やまちづくり関連計画に、跡地の位置づけがあるかを確認する。
  3. 用途廃止と所管替え:教育委員会所管の行政財産から、財産所管部局の普通財産へ切り替える。
  4. 市場性の確認(サウンディング):民間事業者と直接対話し、条件設定の妥当性を確かめる。
  5. 処分方法の決定と議会手続き:売却か貸付か、価格重視か提案重視かを決め、必要な議決を経る。
  6. 公募・選定・契約:募集要項の公表、審査、契約締結、引渡し。

議会手続きについては、地方自治法第237条第2項が「条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない」と定めています。同法第96条第1項第6号も、議会の議決事件として同趣旨を掲げています。政策目的で地代や譲渡価格を下げる場合は、この論点を避けて通れません。

また、自治体の契約は一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りのいずれかで締結するものとされ、後三者は政令で定める場合に限られます(第234条)。地方自治法施行令第167条の2第1項第2号は、随意契約によることができる場合として「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」を挙げており、価格以外の提案内容を評価して相手方を選ぶ公募型の手続きは、この規定を根拠として整理されている例が多いと言われています。実際の適用可否は個別判断になりますので、契約担当部局と条件を詰めてください。

サウンディング型市場調査の進め方——国交省の手引きに沿った7ステップ

サウンディング型市場調査とは、事業発案段階や事業化段階において、事業内容や事業スキーム等に関して、直接の対話により民間事業者の意見や新たな提案の把握等を行うことで、対象事業の検討を進展させるための情報収集を目的とした手法です(国土交通省「地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き」)。跡地活用では、条件を決め切る前に市場の反応を確かめる工程として位置づけられます。

同手引きは、サウンディングが個別の事業の必要性に応じて実施される検討プロセスの一つであり、法令等の定めにはよらないことが一般的だと整理しています。だからこそ、事業ごとに実施要領を作成・公表し、その要領に基づいて手続きを進めることが重要になります。手引きには実施要領・エントリーシート・対話結果公表資料のひな形も添付されています。

  1. 実施要領の作成・公表:ホームページ掲載のほか、記者発表・広報誌・業界紙も活用して周知する。
  2. 現地見学会・説明会の開催:図面では分からない現況を見てもらう。参加要件とはしないのが一般的。
  3. 対話の申し込み受付:エントリーシートで参加法人・希望日時を受け付ける。
  4. 提案書等資料の提出:求める内容は最小限に。任意提出や資料なしの運用も可能。
  5. 個別対話の実施:1グループあたり30分〜1時間程度が標準的。ノウハウ保護のため個別に行う。
  6. 結果の公表:参加事業者数と提案概要を公表。参加者名や詳細提案は非公開とされることが多く、公表前に各社へ確認する。
  7. 実施後の手続き:提案・意見を踏まえて事業化方針と公募条件を再検討し、条件が整った段階で事業者募集を行う。

更地の跡地でサウンディングを行うときは、実施要領の「対象用地の概要」に載せる情報の質が回答の質を決めます。手引きのひな形でも、所在地・土地面積のほか、都市計画等による制限、現況、接道状況、土壌汚染といった項目が例示されています。校舎解体後の造成レベル、埋設物の残置有無、上下水道・電気の引込位置、境界の確定状況までそろえておくと、事業者は具体的な提案に踏み込めます。

留意点も手引きに明記されています。サウンディングは任意参加の情報提供であり自治体との契約関係を生じないため、参加費用は参加事業者の負担とすることが一般的です。また「サウンディングへの参加実績は、事業者公募等における評価の対象とならない」と規定されている場合が多い一方、参加意欲を高めるために公募時の加点などのインセンティブを設ける議論もあります。公平性・透明性を確保しつつ、案件ごとに適切な設計を検討することが望ましいとされています。

跡地の現況をどこまで開示すれば民間の提案が具体化するのか、解体後の造成をどのレベルで止めるのが合理的か——このあたりは、設計と施工の両方を知らないと判断が難しい部分です。判断材料を整理する段階から、サウンディングに向けた跡地の現況整理・条件設定について相談することもご検討ください。

土地だからこそ先に洗い出す4つの制約

跡地活用でつまずく原因の多くは、価格や事業者選定ではなく「土地に付いている制約」の見落としです。公募を出してから発覚すると、スケジュールが年単位で後ろにずれます。次の4点は、方針決定の前に確認しておきたい項目です。

用途地域による建築制限です。建築基準法第48条と別表第二により、用途地域ごとに建てられる建築物が定められています。たとえば第一種低層住居専用地域では、住宅・共同住宅・寄宿舎・学校(大学等を除く)・図書館・老人ホーム・保育所・福祉ホーム・診療所などは建築できますが、一般の店舗や事務所、工場は原則として建てられません。小中学校は住宅地に立地していることが多く、「商業施設を誘致したい」という構想が用途地域の段階で成立しないことがあります。

埋蔵文化財の取扱いです。文化財保護法第93条は、土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で周知の埋蔵文化財包蔵地を発掘しようとする場合、着手予定日の60日前までに届け出るべき旨を定めています。一方、地方公共団体が発掘しようとする場合は第94条が適用され、事業計画の策定に当たってあらかじめ文化庁長官に通知することとされています。売却後に民間が工事を行うのか、自治体が造成まで行うのかで、手続きの入口が変わる点にご注意ください。

土壌汚染に関する届出です。土壌汚染対策法第4条第1項により、環境省令で定める規模以上の土地の形質の変更をしようとする者は、着手する日の30日前までに都道府県知事へ届け出る必要があります。この規模は土壌汚染対策法施行規則により3,000平方メートル(現に有害物質使用特定施設が設置されている工場・事業場の敷地等は900平方メートル)とされています。学校の敷地は3,000平方メートルを超えることが多く、解体・造成の段階で該当する可能性が高い項目です。

境界・インフラ・周辺との関係です。分筆や境界確定の未了、上下水道の引込能力、接道条件、避難所指定の引継ぎ、通学路の変更など、図面には表れない条件が事業の成立性を左右します。地域の合意形成に直結する項目でもあるため、庁内だけで完結させず、早い段階で自治会等と情報を共有しておくことが望ましいと考えられます。

地域再生計画と連動させる——地域再生法第18条という選択肢

跡地活用を単独の財産処分で終わらせず、地域再生計画に位置づけて進める方法があります。地域再生計画は、地方公共団体が作成し内閣総理大臣の認定を受けることで、計画に記載した事業の実施に当たり財政・金融等の支援措置を活用できる仕組みです(内閣府地方創生推進事務局)。認定申請は原則年3回(1月・5月・9月頃)受け付けられ、申請から3か月以内に認定に関する処分を行うこととされています。

跡地活用の文脈でとくに関係が深いのが、補助対象財産の転用に関する手続きの特例です。地域再生法第5条第4項第18号は、地域の福祉・文化その他の地域再生に資する事業活動の基盤を充実するため、補助金等交付財産を交付の目的以外の目的に使用・譲渡・交換・貸付け・担保に供することにより行う事業を、地域再生計画の記載事項として定めています。そして同法第18条により、認定地方公共団体が認定地域再生計画に基づきこの事業を行う場合、認定を受けたことをもって、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第22条に規定する各省各庁の長の承認を受けたものとみなされます。

内閣府の地域再生制度パンフレット(令和7年7月版)では、この特例のメリットとして、内閣府がワンストップ窓口となり地方公共団体の手続負担を軽減できること、法律上3か月以内に認定に関する処分を行うこととされているため手続処理の迅速化が図れること、公共施設を転用する事業ではリニューアル債の支援措置を併せて活用できることが挙げられています。また同資料は、用途や譲渡先について差別的な取扱いをしないこと、国庫納付を求めないことも記載しています。

跡地に残る校舎の一部を転用しながら、更地部分は別の事業に充てる——といった複合的な組み立てをする場合、この特例は検討の価値があります。あわせて、非営利法人等を地域再生推進法人として指定できる仕組み(第19条)や、推進法人が事業用の土地を取得する際に公有地の拡大の推進に関する法律第4条第1項の届出義務が適用されない特例(第21条)も用意されています。

まちづくりの計画体系との整合も忘れずに確認してください。都市再生特別措置法第81条に基づく立地適正化計画を作成している市町村であれば、跡地が居住誘導区域・都市機能誘導区域の内か外かで、誘導すべき機能の考え方が変わります。跡地活用の方針が上位計画と逆を向いていないか、早い段階で都市計画部局と突き合わせておくと、後の説明が楽になります。

用途タイプ別に見る跡地活用の考え方

同じ「学校跡地」でも、立地と面積によって現実的な出口は変わります。ここでは代表的な4タイプについて、向いている条件と確認すべき制約を整理します。個別の案件名や自治体名ではなく、あくまで類型としての整理です。

タイプ 向いている条件 相性のよい出口 とくに確認すべき制約
住宅供給 住居系用途地域、生活利便施設が徒歩圏、需要が見込める人口動態 売却/一般定期借地権(50年以上) 事業用定期借地権は居住用建物に使えない点。周辺の日照・交通への影響
産業・物流用地 幹線道路への接道、工業系または準工業系の用途地域 売却/事業用定期借地権 用途地域の適合。大規模造成に伴う土壌汚染対策法・埋蔵文化財の手続き
公園・防災空地 周辺にまとまったオープンスペースがない、避難場所としての機能を残したい 自治体活用(必要に応じて民間の運営ノウハウを併用) 整備費と維持管理費の財源。従前の避難所指定の引継ぎ
公共施設再編の受け皿 老朽化した他の公共施設の移転先として位置づけがある 自治体活用/複合整備 公共施設等総合管理計画・個別施設計画との整合。総量削減目標との関係

どのタイプでも共通するのは、「地域が納得できる理由」を先に用意しておくことです。学校は地域の記憶が濃く残る場所であり、経済合理性だけの説明では合意が進みにくい傾向があります。文部科学省も、廃校の活用に当たっては、教育委員会のみならずまちづくり・地域振興・産業振興等の多様な関係部局を含めた検討体制とすること、地域の意向を踏まえながら進めることが重要だとしています。跡地についても同じ姿勢が求められると考えられます。

よくある質問

Q1. 校舎を解体してから公募すべきか、建物付きで公募すべきか、どちらがよいですか。

一律の正解はありません。判断材料になるのは、建物の老朽度・耐震性能、想定される用途、解体費の財源見通しの3点です。前掲の文部科学省調査では、活用用途が決まっていない理由として「建物が老朽化している」が902件(41.4%)挙がっており、状態の悪い建物を残したまま募集しても関心が集まりにくい可能性はあります。一方で、建物を活かした提案を期待するなら、解体前にサウンディングを行い、市場の反応を確かめてから判断する方法もあります。解体費の考え方は「廃校の解体費用」の記事もあわせてご覧ください。

Q2. 更地にした跡地でも、文部科学省の財産処分手続きは必要ですか。

義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律の国庫負担は「建物」(校舎・屋内運動場・寄宿舎)の建築に要する経費が対象であり、用地の取得費は含まれていません。そのため、土地そのものについては同法系の補助を根拠とする手続きの対象とならない場合が多いといえます。ただし、建物の解体自体が財産処分に該当するか、他の補助金・交付金や地方債の取扱いがあるかは別問題です。手続きの全体像は「廃校の売却・貸付・公募の進め方」で整理していますので、あわせてご確認ください。

Q3. サウンディングに参加した事業者と、そのまま随意契約を結べますか。

国土交通省の手引きは、直接的なインセンティブとして「優秀な提案を行った民間事業者と随意契約を締結する」といった例に触れつつ、これまでのサウンディングでこうした直接的効果を取り入れた事例はそれほど多くなく、「参加実績は事業者公募等における評価の対象とならない」と実施要領に規定される場合が多いとしています。随意契約が可能かどうかは地方自治法第234条および同法施行令第167条の2の要件に照らした個別判断になりますので、契約担当部局と事前に整理してください。

Q4. 定期借地と売却では、どちらが自治体にとって有利ですか。

金額の有利・不利を一般論で断定することはできません。地代や譲渡価格は、立地・面積・用途地域・造成状態・想定事業によって大きく変わり、不動産鑑定評価や公有財産に関する条例・規則に基づいて個別に算定されるためです。判断軸としては、「将来の公共利用の可能性を残す必要があるか」「一時的な歳入と継続的な歳入のどちらが財政運営に合うか」「事業者側が求める投資回収期間に応えられるか」を並べて比較することをおすすめします。

Q5. 地域再生計画は跡地活用でも使えますか。

地域再生計画は、地域再生に資する事業を記載して内閣総理大臣の認定を受ける仕組みで、補助対象財産の転用に関する手続きの特例(地域再生法第18条)をはじめ複数の支援措置が用意されています。跡地に新たな機能を整備する事業や、残る施設の転用を含む複合的な事業を計画に位置づける形での活用が考えられます。どの支援措置が使えるかは事業内容によって異なるため、認定申請の前に内閣府や関係省庁への事前相談を行うことが推奨されています(2026年8月時点)。

まとめ——「土地」から考えると、跡地活用は動き出す

学校跡地の民間活用は、校舎の処分とは別の検討として設計し直すと、驚くほど整理が進みます。要点をあらためて整理します。

  • 建物と土地は根拠法令が違う。国庫負担の対象は「建物」であり、用地取得費は含まれない
  • 出口は売却・定期借地・自治体活用・暫定利用・保有継続の5択。所有権・収入の形・将来の自由度で比較する
  • 定期借地権は3類型。事業用定期借地権は居住用建物に使えないため、住宅供給には一般定期借地権を用いる
  • 行政財産のままでは貸付・売却ができない。用途廃止して普通財産に切り替える手順を先に固める
  • サウンディングは法令の定めによらない任意の手続き。実施要領を作り、公平性・透明性とノウハウ保護を両立させる
  • 用途地域・埋蔵文化財・土壌汚染・境界/インフラの4点は、公募前に必ず洗い出す
  • 地域再生計画に位置づければ、補助対象財産の転用手続きの特例(第18条)など、ワンストップの支援を受けられる可能性がある

跡地活用は、方針決定・現況調査・解体・造成・整備という長い流れの中で、担当部局が何度も入れ替わります。だからこそ、上流の調査段階から下流の施工までを見通せる相手と組むかどうかで、進み方が変わります。株式会社光建舎は、内装仕上げ・改修を軸に企画から設計・施工・アフターまで一貫して対応する建設会社(運営:株式会社ウイングスペース/一級建築士事務所)として、学校・教育施設の改修に特化した実績を積み重ねてきました。近年は自治体の学校統廃合に伴う調査・計画・設計・施工の上流からの受託にも注力しており、補助金・交付金の活用支援も行っています。全国対応です。

跡地の現況をどう整理し、どの出口を選び、どんな条件で民間に投げかけるか。最初の一歩で迷われている段階でも構いません。学校跡地の民間活用について、調査から設計・施工までワンストップで相談することから、検討を前に進めていただければ幸いです。

※本記事に記載した制度・法令の内容は2026年8月時点のものです。制度は改正される場合がありますので、最新の情報は文部科学省・内閣府・国土交通省・総務省の公表資料でご確認ください。

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