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私立学校でも国の補助金は使えるのか?【2026年版】制度の違いと探し方

使えます。ただし公立学校とは別の制度です。

公立学校の施設整備には、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律に基づく国庫負担金と、学校施設環境改善交付金があります。私立学校はこの制度の対象ではありません。

代わりに、私立学校向けの補助金が用途ごとに設けられています。装置、施設、設備、ICTで別の交付要綱に分かれ、対象となる学校種も要綱ごとに定まっています。

ここを知らずに「補助の3分の1が出るはず」と公立の割合で見込むと、資金計画が狂います。

この記事では、①制度の違い、②国の補助制度、③都道府県の制度、④融資の活用、⑤探し方と進め方、の5点を整理します。

この記事の要点

  • 公立学校の国庫負担金と学校施設環境改善交付金は、施設費負担法に基づく制度で、私立学校は対象ではない
  • 私立学校には、私立学校施設整備費補助金や私立大学等研究設備整備費等補助金といった制度がある
  • 補助の割合は事業ごとの交付要綱で定められ、公立のような一律の負担割合はない
  • 交付要綱は装置、施設、設備、ICTで分かれており、対象となる学校種も要綱ごとに異なる
  • 国の制度だけでなく、都道府県の助成制度と日本私立学校振興・共済事業団の融資も検討の対象になる

公立と私立で制度はどう違うのか?

根拠法が違います。

区分 制度 根拠
公立 公立学校施設整備費負担金 義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第3条。原則2分の1
公立 学校施設環境改善交付金 同法第12条、学校施設環境改善交付金交付要綱
私立 私立学校施設整備費補助金等 事業ごとの交付要綱

公立学校の制度は、施設の設置者である地方公共団体に対して、国が負担または交付する仕組みです。私立学校の設置者は学校法人であり、この制度の対象になりません。

一律の割合がない

公立学校では、事業区分ごとに算定割合が示されています。改築3分の1から2分の1、地震補強2分の1から3分の2、大規模改造3分の1から2分の1、長寿命化改良3分の1から2分の1です。

私立学校の補助は、事業ごとの交付要綱で定められます。公立のように一律の割合が示されるわけではありません。

対象となる事業が限られる

公立学校では、老朽化対策の大規模改造や長寿命化改良が交付金の対象になります。私立学校の補助は、事業の目的が設定されており、一般的な老朽化対策がそのまま対象になるとは限りません。

計画している工事が、どの要綱の目的に合うかを先に確認してください。

採択の競争がある

私立学校向けの補助も、国の予算の範囲で採択されます。申請しても採択されないことがあります。

採択されなかった場合の資金を自前で用意する必要があるため、公立より判断の重さが違います。

国の補助制度には何があるのか?

事業ごとに交付要綱が分かれています。

補助金 対象
私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費)) 私立大学・大学院等
私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立高等学校等施設高機能化整備費)) 私立高等学校等
私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等研究設備等整備費) 私立大学等
私立大学等研究設備整備費等補助金(私立高等学校等ICT教育設備整備推進事業費) 私立高等学校等

要綱の名称が長く、入れ子になっているのが特徴です。「私立学校施設整備費補助金」という大きな枠の中に、事業ごとの区分があります。

どの要綱に当たるかを先に確定する

計画している工事が、装置なのか施設なのか設備なのかで、当たる要綱が変わります。校舎の改修でも、整備する内容によって区分が分かれます。

要綱の名称だけでは判断がつかないため、文部科学省の該当ページで要綱の本文を確認し、所管課に相談してください。

高等学校等と大学等で分かれる

私立高等学校等向けと私立大学等向けで、別の要綱になっています。幼稚園や専修学校、各種学校の扱いは要綱ごとに異なります。

学校法人が複数の学校種を設置している場合、学校ごとに該当する要綱が違うことがあります。

年度ごとに公募される

要綱と公募の内容は年度ごとに示されます。前年度の内容をそのまま前提にすると、要件が変わっている場合があります。

申請を検討する年度の公募要領を確認してください。

私立学校の判断の軸

私立学校では、補助の有無だけでなく、投資が生徒数と納付金に結びつくかという判断が必要になります。

校種ごとの考え方は私立小学校の改修はどう進めるのか?や私立高校の改修はどう進めるのか?で扱っています。

都道府県の制度はどうなっているのか?

独自の助成があります。

国の補助とは別に、都道府県が私立学校向けの助成制度を設けている場合があります。

想定される制度 内容
耐震化への助成 診断と補強への補助
ICT整備への助成 設備の整備への補助
経常費助成 運営費への補助
施設設備費への助成 整備への補助
利子補給 借入れの利子の一部を補助

制度の有無と内容は都道府県によって異なります。学校が所在する都道府県の私学担当部署に確認してください。

私立学校振興助成法は、国が都道府県に対し、私立の高等学校等の経常的経費への補助について補助することができると定める枠組みを持っています。都道府県の制度は、この枠組みの上に組まれているものがあります。

国の制度と併せて使えるか確認する

国の補助と都道府県の助成を併せて使えるかは、制度によって異なります。重複して受けられない場合があります。

両方を前提にした資金計画を立てる前に、併用の可否を確認してください。

市町村の制度もある

市町村が独自に私立学校や私立幼稚園への助成を行っている場合があります。特に幼稚園や認定こども園については、子育て支援の枠で制度があることがあります。

制度を知るのが難しい

私立学校向けの助成は、国、都道府県、市町村に分散しており、まとまった一覧がありません。

所管部署に直接問い合わせるのが、結局は早い方法になります。計画の初期に一度相談してください。

融資はどう活用するのか?

補助で足りない部分を埋めます。

日本私立学校振興・共済事業団が、学校法人向けの融資を行っています。施設の整備に必要な資金の調達手段として、検討の対象になります。

検討項目 内容
融資の対象 施設・設備の整備
金利と期間 返済の負担
返済の原資 学生生徒納付金の見通し
補助との組合せ 補助が入るまでのつなぎ
金融機関からの借入れ 条件の比較

補助は原則として後払いです。工事代金を先に支払い、完了後に額が確定して入金されます。この間の資金を融資で埋める形があります。

返済の原資を確認する

借入れの返済は、学生生徒納付金から出ます。定員の充足率が下がる局面では、返済が経営を圧迫します。

今後の生徒数の見通しと返済の計画を並べて確認してください。経営上の判断は私立学校の施設経営はどう考えるのか?で扱っています。

金利を事業費に含める

借入れの金利は、実質的な事業費に乗ってきます。補助額だけを見て判断せず、この費用も含めて検討してください。

寄付金の時期を合わせる

同窓会や保護者からの寄付を募る場合、募集の時期と工事の時期を合わせる必要があります。工事が先行すれば、その間の資金は別に手当てすることになります。

探し方と進め方はどうするのか?

要綱の確認から始めます。

手順 内容
1 整備する内容を具体化する
2 該当しそうな交付要綱を確認する
3 文部科学省の所管課に相談する
4 都道府県の私学担当部署に相談する
5 補助の見込額を出す
6 不足分の資金調達を検討する
7 理事会での意思決定

ここで重要なのは1です。「校舎を改修したい」という段階では、どの要綱に当たるか判断できません。何をどこまで整備するのかを具体化してから相談してください。

設計者を先に決める

補助の申請には、工事の内容と事業費を示す図書が必要です。設計が進んでいなければ揃いません。

設計者の選定と契約が、申請の前段にあります。見積りの読み方は見積書はどこを見るのか?で扱っています。

採択されない場合を決めておく

採択されなかった場合に工事を延期するのか、自己資金で実施するのか。この判断を申請の前に決めてください。

決まっていないと、結果が出てから理事会で議論が始まり、工事の時期を逃します。

補助を前提にしない計画も用意する

補助が取れることを前提にした計画だけでは、採択されなかった時点で止まります。

工事の範囲を分割し、優先度の高い部分は自己資金で先に実施する案も並行して検討してください。

よくある質問

Q. 私立学校も国の補助金を使えますか。

A. 使えます。ただし公立学校の国庫負担金や学校施設環境改善交付金とは別の制度で、私立学校施設整備費補助金などが事業ごとの交付要綱で設けられています。

Q. 補助の割合はどのくらいですか。

A. 事業ごとの交付要綱で定められます。公立学校のような一律の負担割合はありません。該当する要綱を確認してください。

Q. 老朽化対策は補助の対象になりますか。

A. 要綱の目的に合うかで判断されます。公立学校のように一般的な老朽化対策がそのまま対象になるとは限りません。

Q. 都道府県の制度もありますか。

A. 都道府県が独自の助成制度を設けている場合があります。制度の有無と内容は都道府県によって異なるため、私学担当部署に確認してください。

Q. 国と都道府県の制度は併用できますか。

A. 制度によって異なります。重複して受けられない場合があるため、両方を前提にした資金計画を立てる前に確認してください。

Q. 補助で足りない分はどうしますか。

A. 日本私立学校振興・共済事業団の融資や金融機関からの借入れ、寄付金が手段になります。金利は実質的な事業費に乗るため、返済の原資と併せて検討してください。

まとめ

私立学校も国の補助金を使えますが、公立学校とは別の制度です。公立学校の国庫負担金と学校施設環境改善交付金は施設費負担法に基づく制度で、設置者が地方公共団体であることが前提です。

私立学校向けには、私立学校施設整備費補助金や私立大学等研究設備整備費等補助金が設けられています。要綱は装置、施設、設備、ICTで分かれ、私立高等学校等向けと私立大学等向けでも別になっています。補助の割合は事業ごとの交付要綱で定められ、公立のような一律の割合はありません。

したがって「3分の1は出るはず」と公立の割合で見込むのは誤りです。計画している工事がどの要綱に当たるかを確認し、文部科学省の所管課に相談してください。

国の制度だけでなく、都道府県の助成制度も確認してください。耐震化やICT整備について独自の制度を持つ都道府県があります。ただし国の補助との併用ができない場合があるため、両方を前提にする前に確認が必要です。

資金の不足分は、日本私立学校振興・共済事業団の融資や金融機関からの借入れで埋めます。補助は原則として後払いなので、工事代金を先に払うつなぎの資金も必要です。金利は実質的な事業費に乗るため、返済の原資となる学生生徒納付金の見通しと並べて確認してください。

そして採択されなかった場合の対応を、申請の前に決めておくことです。補助を前提にした計画だけでは、結果が出た時点で止まります。

参考・出典

記載の制度は公表時点のものです。交付要綱および公募の内容は年度ごとに示され、都道府県および市町村の助成制度は所在地により異なります。個別の適用は文部科学省の所管課および都道府県の私学担当部署にご確認ください。

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