この記事は、学校施設の設計・施工を行う株式会社光建舎が作成しています。設計(ウイングスペース一級建築士事務所)から施工まで一社で対応し、専門学校・高校・自治体の学校施設を手がけています。

用途変更の確認申請が必要なケース|200㎡の目安を解説

「200㎡以下なら確認申請は要らない」——これはおおむね正しいのですが、この一行だけを持って計画を進めると、かなりの確率で事故ります。

用途変更の確認申請の要否は、面積だけでは決まりません。2つの条件を両方満たしたときに必要になるのであって、面積はそのうちの1つにすぎません。さらに、面積要件を満たしていても手続きが不要になる例外があり、逆に手続きが不要でも工事は必要という場面があります。

この記事では、要否の判断そのものを実務レベルで整理します。用途変更の全体像は用途変更とは(学校施設での考え方)(K203)をご覧ください。

確認申請が必要な条件は2つ。両方満たしたときだけ

建築基準法第87条第1項に基づき、確認申請が必要になるのは次の2条件を両方満たす場合です。

  1. 変更後の用途が、法第6条第1項第1号の特殊建築物(法別表第1(い)欄)であること
  2. 用途変更に係る部分の床面積が200㎡を超えること

2019年(令和元年)6月25日施行の建築基準法改正により、法第6条第1項第1号の対象面積が100㎡超から200㎡超に変わりました。これに連動して、用途変更で確認申請が必要となる面積も200㎡超になっています。

ここで実務上の要点が2つあります。

要点1:元の用途は関係ありません。判定するのは変更後の用途です。「教室から変えるんだから学校のままでは」という発想ではなく、変更後が別表第1(い)欄に載っているかどうかだけを見ます。

要点2:面積は「用途変更に係る部分」です。建物全体の延べ面積ではありません。3,000㎡の校舎のうち150㎡だけを転用するなら、150㎡で判定します。

学校施設は、そもそも特殊建築物です

ここが学校の特殊事情です。学校、体育館、図書館、博物館、美術館は、いずれも特殊建築物です。児童福祉施設等(保育所・学童保育など)も同様です。

つまり学校施設の転用は、特殊建築物から特殊建築物への変更になることがほとんどです。条件1は最初から満たしている、と考えたほうが早い。だからこそ、判断の焦点は面積と、次に述べる「類似の用途」に絞られます。

200㎡を超えても申請不要になる例外──「類似の用途」

建築基準法施行令第137条の18は、類似の用途を定めています。同じ号の中での相互間の変更であれば、200㎡を超えていても確認申請は不要です。

  1. 劇場、映画館、演芸場
  2. 公会堂、集会場
  3. 診療所(患者の収容施設があるもの)、児童福祉施設等 ★1
  4. ホテル、旅館
  5. 下宿、寄宿舎
  6. 博物館、美術館、図書館 ★1
  7. 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場 ★2
  8. 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
  9. キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー ★3
  10. 待合、料理店
  11. 映画スタジオ、テレビスタジオ

★1 第一種・第二種低層住居専用地域にあるものを除く(=これらの地域では申請が必要)
★2 第一種・第二種中高層住居専用地域、工業専用地域にあるものを除く
★3 準住居地域、近隣商業地域にあるものを除く

たとえば劇場から映画館は同じ第1号なので申請不要。劇場から公会堂は号が違うので申請が必要です。

【要注意】別表第1の分類と、類似の用途の分類は別物です

これが最も間違えやすいところです。法別表第1で同じ分類に入っていても、令第137条の18の類似の用途に該当するとは限りません。

この2つのリストを混同すると、「申請不要だと思って着工したら違反建築物だった」という事故になります。判定は必ず令第137条の18のリストで行ってください。

学校施設で頻出する落とし穴:幼稚園 → 認定こども園

少子化を背景に、この転用は全国で起きています。そして間違えやすい。

変更法上の扱い確認申請
幼稚園 → 幼保連携型認定こども園学校等 → 児童福祉施設等。類似の用途ではない必要(200㎡超の場合)
保育所 → 幼保連携型認定こども園児童福祉施設等 → 児童福祉施設等。類似の用途(第3号内)不要

見た目にはどちらも「こども園にする」だけですが、法的な出発点が違うので結論が逆になります。幼稚園からの転用は確認申請が必要、保育所からの転用は不要。ここを取り違えると、スケジュールが数か月単位で狂います。

さらに、幼保連携型認定こども園については、平成27年の国土交通省の事務連絡により、建築基準法上の取扱いとして幼稚園(学校等)と保育所(児童福祉施設等)の両方の規定を満足する必要があるとされています。「こども園にすれば緩くなる」ということはありません。両方の厳しい側を満たすことになります。

「200㎡以下だから不要」の落とし穴

分割して逃げることはできません

「300㎡を転用したいが、150㎡ずつ2回に分ければ申請不要では」——これは通りません。

特定行政庁の取扱いでは、300㎡の用途変更を実現しようと意図的に150㎡に分けて2回行うようなケースでは確認申請が必要とされています。同一の者が200㎡以下の用途変更を繰り返すなど、意図的に手続きを回避しようとする場合は、実態に応じて判断される、というのが行政の立場です。

過去に用途変更した部分の床面積を合計せず、今回の用途変更部分が200㎡以下なら原則手続き不要、というのが基本の考え方ではあります。しかし「最初から300㎡にする計画だった」と見なされれば、分割は認められません。年度をまたいで分ける計画も、この観点で見られます。

申請が不要でも、法適合は必要です

確認申請が不要になったとき、変わるのは誰が法適合を確認するかだけです。

  • 確認申請が必要な場合 → 特定行政庁または指定確認検査機関が法適合を確認する
  • 確認申請が不要な場合 → 設計者(建築士)が法適合を確認する

建築基準法・消防法への適合義務は、どちらでも同じようにあります。手続きが消えるだけで、義務は消えません。そして工事も消えません。防火区画も、排煙も、非常用照明も、必要なら必要です。

むしろ確認申請が不要なケースのほうが危険です。行政のチェックが入らないぶん、法適合の責任がすべて設計者側に乗ります。「200㎡以下だから設計は簡単に」という発想が、いちばん事故に近い。

完了検査はありません。でも工事完了届は必要です

用途変更には完了検査がなく、検査済証も交付されません。その代わり、工事が完了したら工事完了届を特定行政庁に提出する必要があります(法第87条第1項)。

実務上の注意が2つ。

  • 提出先は特定行政庁です。確認申請を指定確認検査機関に出していても、工事完了届は特定行政庁に出します
  • 確認申請時に工事施工者を「未定」で出したまま届出を忘れると、工事完了届が受理されません。工事施工者届は着工前に必ず提出してください

そしてこの「検査済証が交付されない」という事実は、次の世代に効いてきます。20年後にその棟をもう一度改修しようとしたとき、検査済証がない。用途変更をした棟は、構造的にこの問題を抱えることになります。詳しくは検査済証がない学校施設の改修の進め方(K206)をご覧ください。

本当の争点は「既存遡及」──どこまで工事が必要になるか

ここまでは手続きの話です。しかし予算を決めるのは手続きではなく、工事の範囲です。

用途変更をすると、用途変更する部分以外にも現行規定が適用される(既存遡及)場合があります。しかも、その範囲は防火区画の状況によって変わります。特定行政庁の取扱いでは、次の4区分で整理されています。

区分内容
A用途変更の部分
B用途変更部分と防火区画されていない部分
C準耐火構造の壁・床、又は遮煙性能のある防火設備で区画された部分
D開口部のない耐火構造の壁・床で区画された部分

AからDへ行くほど、遡及する規定が減ります。逆に言えば、区画されていない部分(B)は、工事をしないのに現行基準に合わせる必要が出てきます。

特に効くのが法第27条(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)です。この規定は建物全体に及びます。A〜Dのすべてに遡及します。つまり、耐火建築物とする必要がない用途から必要とする用途へ変更すると、用途変更しない部分も含めて建物全体を耐火建築物等にする必要が生じます。150㎡の転用が、校舎1棟の全面改修に化ける瞬間です。

他にも遡及の例として、階段の寸法、2以上の直通階段、排煙設備、非常用照明、内装制限、居室の採光・換気などがあります。たとえば、直通階段が1か所しかないため既存不適格となっている建築物の一部を用途変更すると、令第121条が遡及して2か所目の階段が必要になる——校舎でこれが起きると、計画は根本から変わります。

なお、令第109条の8に規定される火熱遮断壁等で区画された部分については、法第27条の既存遡及の適用はありません。「どこで切るか」の設計が、そのまま工事費を決めます。

実務の勘所

検討項目課題・発生するリスク解決の方向
面積だけで判断した「200㎡以下だから不要」と判断して着工。実際は類似の用途にも該当せず、遡及規定への対応も未検討で、違反建築物になる。是正指導を受ければ供用開始が止まる①変更後が別表第1(い)欄か ②200㎡超か ③令137条の18の類似の用途か、の3点を順に判定する。判定の根拠を文書で残す
分割して回避しようとした300㎡の転用を150㎡×2回に分けたが、意図的な回避と判断され確認申請が必要に。2年度に分けた計画が組み直しになる最終形を先に決めて一括で判定する。段階施工が必要なら、事前に特定行政庁と協議して取扱いを確認する
遡及範囲を読まずに積算転用部分だけの工事費で予算化したが、法27条が全体に及び、校舎1棟の耐火性能の是正が必要に。予算が数倍に膨らみ計画が凍結する企画段階でA〜Dの区分を仮置きし、遡及する規定を洗い出す。火熱遮断壁等での区画で切れないかを設計で検討する
検査済証がない既存建築物が適法な状態を保っているか確認できず、用途変更の手続きに進めない。是正協議が必要になり工程が読めなくなる国交省の「既存建築物の現況調査ガイドライン」に基づく現況調査を先行させる。構想段階で検査済証の有無だけは確認しておく
用途地域を見ていない類似の用途に該当しても、★印の用途地域では申請が必要。用途規制自体は建物全体に既存遡及するため、そもそも転用できない場合もある法48条(法別表第2)の適合を最初に確認する。市街化調整区域では都市計画法の立地要件も要チェック
工事完了届の失念工事施工者を「未定」で申請し届出を忘れたまま竣工。工事完了届が受理されず、供用開始の手続きが止まる工事施工者届は着工前に提出。工事完了届の提出先は特定行政庁(指定確認検査機関ではない)

用途変更を単独の手続きとして考えない

ここまで読んでお分かりのとおり、用途変更の確認申請の要否は、入口の判定にすぎません。本当の勝負は、遡及する規定をどこで止めるかという設計判断です。

そして学校施設の場合、この判断はほぼ必ず他の工事と絡みます。

空き教室を転用しようとすれば、防火区画が要る。区画を作るには壁を建て、天井を触る。天井を触るなら、そこには空調のダクトも照明の配線もある。避難のために階段を増設するなら、構造に手が入る。用途変更のための工事と、老朽化改修・空調更新・LED化の工事範囲は、同じ場所で重なります。

さらに、法第27条の遡及で建物全体の耐火性能に手が入るなら、それはもはや「転用工事」ではなく校舎1棟の改修です。そこまで行くなら、外壁も屋上防水も設備も、同じ足場・同じ仮設・同じ長期休暇の中で片づけるべきものです。足場・仮設・養生は共通費であり、何の工事のために架けても金額はほとんど変わりません。

逆に、区画の切り方ひとつで遡及範囲が縮まり、工事費が大きく下がることもあります。この判断ができるのは、法規と構造と設備と意匠を同じテーブルで見られる立場だけです。手続きの代行だけを外注しても、この最適化は起きません。

「確認申請は要るのか」から入った検討が、最後は「この校舎をどう使い続けるか」に着地する。用途変更とは、そういう計画です。

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参考・出典

※記載の制度や法令は公表時点のものです。最新情報は各所管の公表資料をご確認ください。

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