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プール改修は新設とどちらが得なのか?【2026年版】維持費を含めた比較

3つ目の選択を加えてから比べます。

改修と新設の2択で考えると、どちらかを選ぶことになります。しかし学校のプールには「持たない」という選択もあります。近隣の公営プールや民間施設を使い、自校のプールを廃止する形です。

プールは使用期間が夏季に限られる一方、水質管理、設備の運転、点検は毎年必要です。学校環境衛生基準では、使用日の積算が30日以内ごとに1回の定期検査が求められます。

したがって比較は、工事費だけでなく年間の維持費を含めて行う必要があります。

この記事では、①3つの選択、②水質管理の要求、③改修の内容、④新設の判断、⑤比較の方法、の5点を整理します。

この記事の要点

  • 選択は改修、新設、廃止(外部施設の利用)の3つ
  • 学校環境衛生基準では、遊離残留塩素は0.4mg/L以上であること、1.0mg/L以下であることが望ましいとされている
  • 同基準ではpH値5.8以上8.6以下、濁度2度以下、循環ろ過装置の出口における濁度0.5度以下とされている
  • 同基準では、大腸菌は検出されないこと、一般細菌は1mL中200コロニー以下であることとされている
  • 検査は使用日の積算が30日以内ごとに1回行う

3つの選択とは何か?

改修、新設、廃止です。

選択 内容
改修 既存のプールを直して使い続ける
新設 既存を解体し、新しく建設する
廃止 解体し、外部の施設を利用する

廃止という選択が増えている

プールの維持費と、水泳の授業を外部施設で行う方法を比べて、自校のプールを持たない判断をする自治体があります。

廃止の場合に必要なこと 内容
外部施設の確保 近隣の公営プール、民間施設
移動の手段 バスの手配と費用
移動の時間 授業時間への影響
利用の調整 複数校の日程の調整
跡地の活用 解体後の土地の使い方

移動の時間と費用が、維持費の削減分を上回ることがあります。地域の条件で結論が変わります。

跡地の活用を含めて考える

プールを解体すれば、その面積が空きます。駐車場、運動場の拡張、校舎の増築用地、防災備蓄の倉庫。

跡地の価値を含めて比較してください。駐車場が不足している学校、運動場が狭い学校では、この価値が大きくなります。

統合の計画と重ねる

今後統合する予定の学校であれば、プールを改修する意味は小さくなります。統合先のプールを使う形になります。

改修と建替えの判断は改修と建替えの判断基準は何か?で扱っています。プールも同じ軸で判断できます。

プールの改修全般

プールの改修の内容は学校のプール改修はどう進めるのか?で扱っています。

水質管理には何が求められるのか?

学校環境衛生基準に数値が定められています。

項目 基準
遊離残留塩素 0.4mg/L以上であること。1.0mg/L以下であることが望ましい
pH値 5.8以上8.6以下であること
濁度 2度以下であること
循環ろ過装置の処理水 出口における濁度は0.5度以下であること。0.1度以下であることが望ましい
過マンガン酸カリウム消費量 12mg/L以下であること
大腸菌 検出されないこと
一般細菌 1mL中200コロニー以下であること
総トリハロメタン 0.2mg/L以下であることが望ましい

これらは使用日の積算が30日以内ごとに1回の定期検査で確認されます。

循環ろ過装置が要になる

濁度と細菌の基準を満たすには、循環ろ過装置が機能している必要があります。出口における濁度は0.5度以下であることとされています。

ろ材の劣化、ポンプの能力低下、配管の詰まり。これらがあると基準を満たせません。改修では、この設備の状態が中心的な確認項目になります。

塩素の注入と管理

遊離残留塩素を0.4mg/L以上に保つには、塩素の注入が必要です。自動注入の装置があるか、手動で行うかで日々の負担が変わります。

装置が故障していると、管理が人手に頼ることになります。

日々の管理の負担

使用期間中は、毎日の水質の測定、塩素の注入、清掃、水位の管理が必要です。これを誰が行うかが運営の課題になります。

教職員が担っている場合、負担が大きくなります。

検査の記録

定期検査の結果を記録し、保管してください。基準を満たしていない場合、使用を止める判断が必要になります。

改修の内容はどうなるのか?

水を止めることと設備です。

項目 確認すること
漏水 プール槽からの水の漏れ
防水層 塗膜の劣化、ひび割れ
槽の構造 コンクリートのひび割れ、鉄筋の腐食
循環ろ過装置 ろ材、ポンプ、配管
給排水 給水の容量、排水の経路
配管 埋設部分の漏水
更衣室・シャワー 給湯、排水、床
排水の処理 排水の水質と放流先

漏水が最大の問題

プールの漏水は、水道料金として毎年の負担になります。また槽の下の地盤を洗い、沈下の原因にもなります。

漏水の有無は、水位の変化を測ることで分かります。使用期間の前に確認してください。

埋設配管の漏水は特定が難しい

プールの配管は地中に埋設されていることが多く、漏水の位置の特定が難しくなります。掘削して確認する調査が必要になることがあります。

この調査と補修の費用が、改修の中で読みにくい項目です。

槽の防水

プール槽の内側の防水層は、塩素と紫外線で劣化します。塗り替えの周期があり、劣化すれば水が漏れます。

既存の防水層の仕様と施工の年を確認してください。

更衣室とシャワー

更衣室の床、シャワーの給湯、排水。これらも改修の対象になります。プール槽だけを直しても、更衣室が使えなければ運用できません。

排水の処理

プールの水を排水する際、水質が放流先の基準に関わることがあります。塩素を含む水をそのまま放流できない場合、中和の処理が必要になります。

放流先の条件を確認してください。

新設の判断はどうするのか?

改修の費用が新設に近づくかで決まります。

状況 判断
漏水の位置が特定でき、部分補修で足りる 改修
槽の構造体に広範囲のひび割れがある 新設を検討
埋設配管の全面やり直しが必要 新設を検討
循環ろ過装置の全面更新が必要 費用を比較
更衣室も含めて全面やり直しが必要 新設を検討
今後20年以上使う予定 新設も選択肢
今後10年以内に統合 改修も新設も見送り

必要な工事を全部足す

プール槽の防水、構造体の補修、埋設配管、循環ろ過装置、更衣室、シャワー。これらを全部足してから新設と比べてください。

槽の防水だけを比較の対象にすると、改修が有利に見えます。

屋内プールという選択

屋内のプールにすれば、使用期間が延び、天候の影響を受けなくなります。一方、建物の建設費と年間の光熱費が加わります。

使用期間が延びることによる効果と、費用の増加を比べてください。

規模を見直す

児童生徒数が減っている場合、既存と同じ規模が必要とは限りません。小さくすれば建設費と維持費が下がります。

必要な規模を在籍者数から算出してください。

近隣校との共用

複数の学校で1つのプールを共用する形があります。1校に集約して整備し、他校から通う構成です。

移動の手段と時間、日程の調整が課題になります。

比較はどう行うのか?

年間の維持費を含めます。

比較の項目 改修 新設 廃止
初期の費用 工事費 建設費+解体費 解体費
使える年数 改修後の年数 長い ー
水道料金 漏水の有無による 下がる かからない
電気料金 設備の効率による 下がる かからない
薬剤費 かかる かかる かからない
点検・検査 かかる かかる かからない
管理の人手 かかる かかる かからない
外部施設の利用料 ー ー かかる
バスの費用 ー ー かかる
跡地の価値 ー ー 得られる

年間の維持費を把握する

水道料金、電気料金、薬剤費、点検と検査の費用、修繕費。これらの実績を集めてください。

庁内に過去の支出の記録があります。これがないと比較ができません。

使用日数で割る

プールは年間で使用する日数が限られます。維持費を使用日数で割ると、1日あたりの費用が出ます。

この数字が、外部施設の利用料と比較する材料になります。

跡地の価値を含める

廃止する場合、跡地が使えるようになります。この価値を比較に含めてください。

駐車場が不足している学校、運動場が狭い学校では、跡地の価値が大きくなります。

長期修繕計画に組み込む

プールも建物の一部として、長期修繕計画に位置づけてください。考え方は長期修繕計画はどう作るのか?で扱っています。

修繕の周期の考え方は学校の大規模修繕の周期は何年なのか?で扱っています。

説明が必要になる

プールの廃止は、保護者と地域から反対の声が出ることがあります。水泳の授業がなくなるわけではないことを、具体的に示してください。

示すこと 内容
授業の実施方法 どこで、何回行うか
移動の方法 バスか、徒歩か
安全の確保 移動中と施設での体制
維持費の実績 年間いくらかかっていたか
改修した場合の費用 見積りの額
跡地の使い方 何に使うか

維持費の実績と改修した場合の費用を数字で示せば、議論の前提が揃います。数字のない説明では進みません。

よくある質問

Q. 廃止には説明が必要ですか。

A. 必要です。授業の実施方法、移動の方法、安全の確保、維持費の実績、改修した場合の費用、跡地の使い方。これらを数字で示してください。

Q. プールの改修と新設はどちらが得ですか。

A. 改修に必要な工事を全部足してから新設と比べてください。槽の防水、構造体の補修、埋設配管、循環ろ過装置、更衣室。これらを足すと新設に近づくことがあります。

Q. プールを持たない選択はありますか。

A. あります。近隣の公営プールや民間施設を使い、自校のプールを廃止する形です。ただし移動の時間と費用が、維持費の削減分を上回ることがあります。

Q. 水質の基準はありますか。

A. 学校環境衛生基準で定められています。遊離残留塩素0.4mg/L以上、pH値5.8以上8.6以下、濁度2度以下、大腸菌は検出されないこと、一般細菌は1mL中200コロニー以下などです。

Q. 検査はどのくらいの頻度ですか。

A. 使用日の積算が30日以内ごとに1回の定期検査が求められます。

Q. 改修で読みにくい費用は何ですか。

A. 埋設配管の漏水です。配管が地中にあるため漏水の位置の特定が難しく、掘削して確認する調査が必要になることがあります。

Q. 比較で見落としやすい点は何ですか。

A. 年間の維持費と跡地の価値です。水道料金、電気料金、薬剤費、点検と検査の費用、管理の人手。そして廃止すれば跡地が使えるようになります。

まとめ

プールの改修と新設を比べる前に、「持たない」という3つ目の選択を加えてください。近隣の公営プールや民間施設を使い、自校のプールを廃止する形です。ただし移動の時間と費用が、維持費の削減分を上回ることがあります。

水質管理の要求は、学校環境衛生基準に数値で定められています。遊離残留塩素は0.4mg/L以上であること、1.0mg/L以下であることが望ましい。pH値5.8以上8.6以下、濁度2度以下、循環ろ過装置の出口における濁度0.5度以下。大腸菌は検出されないこと、一般細菌は1mL中200コロニー以下。これらを使用日の積算30日以内ごとに1回の定期検査で確認します。

改修では、漏水を止めることと循環ろ過装置が中心になります。漏水は水道料金として毎年の負担になり、槽の下の地盤を洗って沈下の原因にもなります。埋設配管の漏水は位置の特定が難しく、改修の費用の中で最も読みにくい項目です。

新設の判断は、改修に必要な工事を全部足してから行ってください。槽の防水、構造体の補修、埋設配管、循環ろ過装置、更衣室、シャワー。槽の防水だけを比較の対象にすると改修が有利に見えます。

比較には年間の維持費を含めてください。水道料金、電気料金、薬剤費、点検と検査の費用、管理の人手。そして維持費を使用日数で割れば、外部施設の利用料と比較できます。あわせて廃止した場合の跡地の価値も含めてください。

参考・出典

記載の基準および制度は公表時点のものです。水質の基準、検査の頻度および排水の取扱いは所管の運用と放流先により異なります。個別の判断は所管部署、保健所および設計者にご確認ください。

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