工事の内容によります。
夏季休業は40日程度ですが、工事に使える日数はこれより短くなります。終業式と始業式の前後、お盆の休工、清掃や行事での使用。実際に作業できるのは30日台になることが多くあります。
この日数で終わる工事は限られます。内装の張り替えや設備の交換なら収まりますが、外壁や屋上防水、耐震補強は足場の組立てと解体だけで日数を消費します。
そして工事の前に、確認申請の審査、入札と契約という期間があります。
この記事では、①実際に使える日数、②夏休みで終わる工事、③終わらない工事、④分割の方法、⑤前年度からの段取り、の5点を整理します。
目次
この記事の要点
- 夏季休業は40日程度でも、工事に使える日数は30日台になることが多い
- 内装の張り替えや設備の交換は収まる可能性があるが、外壁や屋上防水、耐震補強は足場の期間で日数を消費する
- 確認申請が必要な工事では、確認済証の交付前に着工できないため審査期間を逆算する必要がある
- 公共の工事では入札と契約の手続きに期間が必要で、設計が終わってすぐ着工できるわけではない
- 工区を分けて複数年度に割り振る計画が現実的で、足場をまとめる工事は年度をそろえる
実際に使える日数はどのくらいか?
30日台になることが多くあります。
| 要因 | 日数への影響 |
|---|---|
| 夏季休業の期間 | 40日程度 |
| 終業式・始業式の前後 | 準備と片付けで使えない |
| お盆の休工 | 業者側の休み |
| 部活動の使用 | 体育館、グラウンド、一部の教室 |
| 行事・開放事業 | 地域への貸出し、サマースクール |
| 清掃・ワックスがけ | 学校側の作業 |
| 教職員の在室 | 職員室は使用が続く |
夏季休業の全期間が工事に使えるわけではありません。実際の使用予定を学校から聞き取ってから、工期を数えてください。
部活動と行事が制約になる
体育館とグラウンドは、夏季休業中も部活動で使われます。プールも開放事業で使われることがあります。
これらの施設の工事は、使用の予定と調整しなければ着手できません。
職員室は使用が続く
夏季休業中も教職員は出勤します。職員室、事務室、保健室、トイレの一部は使用が続きます。
これらの範囲を工事する場合、別の場所に移る段取りが必要になります。
搬入と搬出の日数も含める
資材の搬入、仮設の設置、残材の搬出。これらも工期に含まれます。正味の作業日数は、さらに短くなります。
学校の年間予定を先に確認する
工期を数える前に、学校の年間行事予定を入手してください。工程表に重ねて、使える日を確定します。
工事の進め方は学校の改修工事はどう進めるのか?で扱っています。
夏休みで終わる工事は何か?
内装と設備が中心です。
| 工事 | 夏休みでの可否 |
|---|---|
| 教室の内装の張り替え | 室数を絞れば可能 |
| 照明のLED化 | 可能な場合がある |
| 空調の設置 | 範囲を絞れば可能 |
| トイレの改修 | 1か所から2か所程度 |
| 床の張り替え | 範囲を絞れば可能 |
| 建具の交換 | 範囲を絞れば可能 |
| 給排水管の部分更生 | 範囲を絞れば可能 |
いずれも「範囲を絞れば」という条件が付きます。全館を一度に行うことはできません。
トイレの改修は1か所ずつ
トイレの改修は、解体、配管、防水、仕上げ、器具の設置という工程があります。1系統を1回の夏季休業で終える規模です。
学校に4系統あれば、4年かかる計算になります。これを短縮するには、仮設トイレを設けて学期中に工事する方法があります。
トイレ改修の考え方は学校のトイレ改修はどう進めるのか?で扱っています。
空調の設置は電源が論点
空調の設置では、室内機と室外機の設置だけでなく、受電設備と幹線の容量が問題になります。
受電設備の更新が必要な場合、停電を伴う作業があり、工期が延びます。停電は学校全体に及ぶため、作業できる日が限られます。
内装は乾燥の期間が必要
塗装、接着、左官。これらは乾燥の期間が必要です。工期を詰めすぎると、仕上がりに影響します。
夏季は乾燥が早い一方、湿度が高い日は進みません。天候による遅れを工程に見込んでください。
終わらない工事は何か?
足場を伴う工事です。
| 工事 | 理由 |
|---|---|
| 外壁改修 | 足場の組立てと解体に日数が必要 |
| 屋上防水 | 下地の調査と補修に日数が必要 |
| 耐震補強 | はつりと穿孔が多く、養生期間もある |
| 建具の全面交換 | 数量が多い |
| 給排水管の全面更新 | 配管の経路が建物全体に及ぶ |
| 消防用設備等の全館設置 | 配管と配線が建物全体に及ぶ |
| エレベーターの設置 | 構造の工事を伴う |
足場の期間が読みにくい
足場の組立てと解体には、それぞれ日数が必要です。校舎の規模によって変わりますが、工期の中で小さくない割合を占めます。
足場を組んだまま学期が始まる場合、窓の前に足場が立ち、採光と通風が落ちます。空調のない教室では使えなくなることがあります。
屋上防水は下地の状態で変わる
既存の防水層を撤去すると、下地の劣化が見つかることがあります。補修が必要になれば日数が延びます。
調査で把握できる範囲には限りがあるため、工期に余裕を持たせてください。
既存の防水層が何層も重ねられている校舎では、撤去の量が想定を超えることがあります。
耐震補強は騒音と工期の両方が制約
耐震補強は、はつりと穿孔が多く騒音が大きいため、学期中には進めにくい工事です。一方、工事量が多く夏季休業では終わりません。
このため工区を分けて複数年度に割り振る計画が一般的です。
設備の全面更新
給排水管や消防用設備等の全面更新は、配管と配線が建物全体に及びます。天井を開けて作業するため、各室に立ち入ります。
夏季休業で終わる範囲を絞り、複数年度に分けることになります。
分割はどうするのか?
工区と年度で分けます。
| 分け方 | 内容 |
|---|---|
| 階で分ける | 1年に1階ずつ |
| 棟で分ける | 複数棟ある場合 |
| 系統で分ける | トイレ、配管の系統ごと |
| 工種で分ける | 外部を先、内部を後 |
| 年度で分ける | 複数年度の計画にする |
足場をまとめる工事は年度をそろえる
外壁改修、屋上防水、建具の交換、高所の照明の更新。これらは足場を共有できます。別の年度に分けると足場が2回必要になります。
逆に、足場を使わない内装と設備の工事は、年度を分けても損失が小さくなります。
学期中に進められる工事を切り出す
騒音と粉じんの小さい工事は、学期中に進められる場合があります。工区を区画して、使用する範囲と分ければ可能です。
居ながら工事の条件は学校の改修中も授業はできるのか?で扱っています。
冬休みと春休みも使う
夏季休業だけでなく、冬季休業と春季休業も使えます。期間は短いものの、小規模な工事なら収まります。
ただし冬季は塗装や左官の乾燥に時間がかかり、寒冷地では施工できない工種があります。
仮設校舎という選択
工区を分けて何年もかかる工事では、仮設校舎を建てて一度に工事する選択があります。
仮設校舎の費用と、工期が延びることによる費用を比べてください。3年かかる工事が1年で終われば、総額で有利になることがあります。
前年度からの段取りはどうするのか?
逆算します。
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 2年前 | 個別施設計画への位置づけ |
| 前年度前半 | 現況の調査 |
| 前年度後半 | 設計者の選定、基本設計 |
| 前年度末から当年度初 | 補助の申請 |
| 当年度前半 | 実施設計、確認申請 |
| 当年度前半 | 入札、契約 |
| 当年度(夏季) | 工事 |
確認申請の審査期間を逆算する
確認申請が必要な工事では、確認済証の交付前に着工できません。審査期間は制度で決まっており、交渉で短縮できません。
確認申請が必要になる工事の線引きは学校の改修に建築確認は必要なのか?で扱っています。
入札と契約の期間を入れる
公共の工事では、入札と契約の手続きに期間が必要です。設計が終わってすぐ着工できるわけではありません。
庁内の契約部門に必要な期間を確認し、工程表に入れてください。
調査は前年度に済ませる
劣化の状況、アスベストの有無、構造の状態。これらが分からないと工事の数量が出ず、設計も積算もできません。
調査を当年度に行うと、その年度の夏季休業には間に合いません。
発注者側の体制を確保する
逆算した工程を管理するには、発注者側に担当が必要です。設計者との協議、学校との調整、所管部署への申請。
担当が1人で他の業務と兼務している状態では回りません。複数校を同じ年度に進める場合は、校数分の調整が発生します。
工期が足りないときの選択
逆算して夏季休業に収まらないと分かった場合、選択は4つです。
| 選択 | 内容 |
|---|---|
| 範囲を絞る | その年度は一部だけ行う |
| 年度を動かす | 翌年度の夏季休業に回す |
| 学期中に進める | 居ながら工事で工区を分ける |
| 仮設校舎を使う | 一度に工事する |
避けるべきは、工期が足りないまま着工することです。工程を詰めると品質に影響し、学期が始まってから工事が続く状態になります。
計画の段階で収まらないと分かったなら、範囲を絞るか年度を動かしてください。
よくある質問
Q. 夏休みだけで改修は終わりますか。
A. 工事の内容によります。内装の張り替えや設備の交換は範囲を絞れば収まりますが、外壁や屋上防水、耐震補強は足場の期間で日数を消費します。
Q. 夏休みの何日が工事に使えますか。
A. 40日程度の休業期間のうち、実際に作業できるのは30日台になることが多くあります。終業式と始業式の前後、お盆の休工、部活動と行事での使用が制約になります。
Q. トイレの改修は何か所できますか。
A. 1系統を1回の夏季休業で終える規模です。学校に4系統あれば4年かかる計算になります。仮設トイレを設けて学期中に工事する方法もあります。
Q. 足場を組んだまま学期が始まるとどうなりますか。
A. 窓の前に足場が立ち、採光と通風が落ちます。空調のない教室では使えなくなることがあります。
Q. 複数年度に分けるとき何に注意しますか。
A. 足場を共有できる工事は年度をそろえてください。外壁改修、屋上防水、建具の交換を別の年度に分けると、足場が2回必要になります。
Q. いつから準備すればよいですか。
A. 前年度からです。調査、設計、補助の申請、確認申請の審査、入札と契約。これらを逆算すると、前年度の前半に調査を始める必要があります。
まとめ
夏休みだけで改修が終わるかは、工事の内容で決まります。
夏季休業は40日程度ですが、実際に作業できるのは30日台になることが多くあります。終業式と始業式の前後、お盆の休工、部活動と行事での使用、清掃、教職員の在室。これらが制約になります。工期を数える前に、学校の年間行事予定を入手してください。
この日数で収まるのは、内装の張り替え、照明のLED化、空調の設置、トイレの改修、床の張り替え。いずれも範囲を絞ることが条件です。トイレは1系統が1回の夏季休業の規模で、4系統あれば4年かかります。
収まらないのは足場を伴う工事です。外壁改修、屋上防水、耐震補強、建具の全面交換、設備の全面更新。足場の組立てと解体に日数が必要で、組んだまま学期が始まると窓の前に足場が立ちます。
分割では、足場を共有できる工事の年度をそろえてください。外壁改修、屋上防水、建具の交換、高所の照明の更新を別の年度に分けると、足場が2回必要になります。逆に足場を使わない工事は、年度を分けても損失が小さくなります。
そして段取りは前年度からです。調査、設計、補助の申請、確認申請の審査、入札と契約。確認済証の交付前に着工できず、審査期間は交渉で短縮できません。これを逆算すると、前年度の前半に調査を始める必要があります。
参考・出典
- e-Gov法令検索「建築基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 文部科学省「公立学校施設整備に関する実務」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/zitumu.htm
- 文部科学省「公立学校施設費国庫負担金等に関する関係法令等の運用細目・交付要綱等」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/unyou/index.htm
- e-Gov法令検索「地方自治法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書等」 https://www.mlit.go.jp/gobuild/kijyun_singi_sankosiryo.htm
記載の制度および手続きは公表時点のものです。審査および入札・契約に要する期間、工事に使える日数は所管行政庁、自治体の運用および学校の使用予定により異なります。個別の計画は所管部署および設計者にご確認ください。
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