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学校の改修に建築確認は必要なのか?【2026年版】大規模の修繕・模様替の線引き

答えは工事の内容によります。

内装の張り替えや設備の交換だけなら、建築確認は不要です。一方、屋根の葺き替えや外壁の全面改修、階段の架け替えは、大規模の修繕または大規模の模様替に当たり、確認が必要になります。

この線引きは「金額が大きいかどうか」ではありません。主要構造部のどれを、どれだけ触るかで決まります。数千万円の内装工事で確認が不要なこともあり、数百万円の屋根工事で確認が必要になることもあります。

そして令和7年4月1日施行の改正で、確認の対象が広がりました。

この記事では、①確認が必要になる3つの場合、②大規模の修繕・模様替の定義、③令和7年4月の改正、④学校特有の論点、⑤手続きと期間、の5点を整理します。

この記事の要点

  • 建築確認が必要になるのは、新築・増築・改築・移転、大規模の修繕・大規模の模様替、用途変更の3つの場合
  • 主要構造部は壁、柱、床、はり、屋根、階段で、そのうち一種以上について行う過半の修繕・模様替が大規模の修繕・模様替に当たる
  • 令和7年4月1日施行の改正により、2階建て又は延べ面積が200平方メートルを超える建築物(新2号建築物)は、構造によらず構造関係規定等の審査が必要になり、大規模な修繕・模様替えも建築確認の対象になった
  • 学校は建築基準法別表第一(い)欄の用途で、床面積の合計が200平方メートルを超えるものは同法第6条第1項第1号の特殊建築物に当たる
  • 用途を変更して200平方メートルを超える特殊建築物とする場合は、同法第87条第1項により確認が必要

どういう場合に確認が必要なのか?

3つの場合があります。

場合 内容
新築・増築・改築・移転 建物を建てる、増やす、建て替える、動かす
大規模の修繕・大規模の模様替 主要構造部の一種以上の過半を修繕・模様替する
用途変更 200平方メートルを超える特殊建築物にする

学校の改修でよく問題になるのは2つ目と3つ目です。1つ目は増築を伴う場合で、判断に迷うことは少なくなります。

設備の更新だけなら不要

空調の入替え、照明のLED化、給排水管の更生、受電設備の更新。これらは主要構造部に手を入れないため、大規模の修繕・模様替には当たりません。

ただし配管や配線のために構造体に新しく穴をあける場合は、構造の検討が必要になることがあります。手続きの要否とは別に、設計者の確認を取ってください。

内装の変更だけなら不要

床の張り替え、壁のクロスの張り替え、天井の張り替え、建具の交換。これらも主要構造部の修繕・模様替ではありません。

ただし内装制限の規定には従う必要があります。手続きが不要なことと、実体規定を守らなくてよいことは別です。

間仕切りの撤去は内容で変わる

教室の間仕切りを抜く工事は、その壁が主要構造部の壁に当たるかどうかで判断が変わります。構造上の耐力壁であれば主要構造部で、過半を撤去すれば大規模の模様替に当たり得ます。

図面と現地で、その壁が何であるかを確認してください。既存建物の調査については既存建物の調査は何を見るのか?で扱っています。

大規模の修繕・模様替とは何か?

主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替です。

主要構造部は、壁、柱、床、はり、屋根、階段の6つです。このうち一種以上について、過半の修繕または模様替を行う工事が、大規模の修繕・大規模の模様替に当たります。

工事 判断
屋上防水の全面やり直し 屋根の過半に当たるかを確認
外壁の全面改修 壁の過半に当たるかを確認
外壁の一部補修 過半に達しなければ当たらない
階段の架け替え 階段の過半に当たるかを確認
床の構造体の入替え 床の過半に当たるかを確認
内装の仕上げの張り替え 主要構造部の修繕ではない
設備の更新 主要構造部の修繕ではない

重要なのは「過半」の判断です。1つの主要構造部の種類について、その半分を超えるかどうかで決まります。

過半の数え方は行政庁で運用が異なる

棟ごとに数えるのか、同じ種類の部位の全体で数えるのか。面積で見るのか、延長で見るのか。運用には幅があります。

外壁改修で2分の1を超えるかどうかの判断は、特に見解が分かれる場面です。計画の初期に特定行政庁へ確認してください。

修繕と模様替の違い

修繕は、既存のものと同じ材料・仕様で造り替える工事です。模様替は、異なる材料・仕様に変える工事です。

どちらも「大規模の」が付く条件は同じで、主要構造部の一種以上の過半です。

大規模修繕という言葉との違い

建物の維持管理で使う「大規模修繕」という言葉と、建築基準法の「大規模の修繕」は別の概念です。

12年周期の大規模修繕工事が、必ずしも建築基準法上の大規模の修繕に当たるわけではありません。逆に、小規模に見える屋根工事が当たることもあります。大規模修繕の考え方は学校の大規模修繕とは何か?で扱っています。

令和7年4月の改正で何が変わったのか?

確認の対象が広がりました。

令和7年4月1日施行の改正により、2階建て又は延べ面積が200平方メートルを超える建築物(新2号建築物)は、構造によらず構造関係規定等の審査が必要になりました。あわせて、新2号建築物は大規模な修繕・模様替えも建築確認の対象になりました。

時期 対象
改正前 いわゆる4号建築物は構造関係規定等の審査が省略され、大規模の修繕・模様替も確認の対象外
改正後 2階建て又は延べ面積200平方メートル超は、構造によらず審査の対象。大規模な修繕・模様替えも確認の対象

学校では従前から確認の対象だった

学校は建築基準法別表第一(い)欄の用途です。床面積の合計が200平方メートルを超えるものは、同法第6条第1項第1号の特殊建築物に当たります。

校舎は1棟で数千平方メートルあるため、改正前からこの区分に入っており、大規模の修繕・模様替は確認の対象でした。したがって改正の影響は、学校の校舎そのものには大きく及びません。

影響が出るのは小さな附属建物

部室棟、倉庫、自転車置場、プールの更衣室、守衛室。こうした小さな附属建物は、改正前は4号建築物として扱われていた場合があります。

これらの屋根や外壁の改修が、改正後は確認の対象になることがあります。校内の小さな建物の工事を計画するときは、改正後の区分で確認してください。

工事着手の時期で判断される

適用は工事に着手した日で決まります。計画が令和7年4月をまたぐ場合、どの時点が着手になるかを特定行政庁に確認してください。

学校特有の論点は何か?

用途変更と、棟の数え方です。

論点 内容
用途変更 200平方メートルを超える特殊建築物にする場合
棟の数え方 渡り廊下でつながった校舎は1棟か別棟か
既存不適格 現行規定の適用を受けない部分がある
増築との組合せ 増築を伴うと範囲が変わる
検査済証の有無 ない場合の扱い
使用中の工事 仮使用の手続き

用途変更は別の規定で判断される

建築基準法第87条第1項は、建築物の用途を変更して同法第6条第1項第1号の特殊建築物とする場合について、確認申請の規定を準用すると定めています。

ただし同法施行令第137条の18が定める類似の用途の相互間の変更であれば、確認申請を要しません。学校はこの11区分のいずれにも含まれないため、学校から他の用途への変更は類似の用途に当たりません。

用途変更の制度全体は用途変更とは何か?にまとめています。面積の考え方は用途変更の確認申請は200㎡からなのか?で扱っています。

棟の数え方で結論が変わる

学校は、校舎、特別教室棟、体育館、管理棟が渡り廊下でつながった構成が多くあります。これを1棟と見るか別棟と見るかで、過半の判断が変わります。

構造上独立しているか、エキスパンションジョイントで分かれているか、防火上区画されているか。この判断は図面と現地の確認が必要です。

増築を伴うと範囲が広がる

増築を伴う場合、増築部分だけでなく既存部分にも規定が及ぶことがあります。既存部分の構造や防火について、どこまで現行規定に適合させるかの検討が必要になります。

改修だけの計画と、増築を伴う計画では、手続きの重さが大きく違います。

使用しながらの工事

在校中に工事を行う場合、仮使用の手続きが必要になることがあります。確認を受けた工事が完了検査を受ける前に建物を使うには、所定の手続きを経る必要があります。

工程を組む段階で、この手続きの期間を見込んでください。

手続きと期間はどう見込むのか?

審査の期間を工程に入れます。

段階 内容
事前相談 計画の内容を特定行政庁に示す
設計 確認申請用の図書を作成
申請 特定行政庁または指定確認検査機関へ
審査 期間は規模と内容で変わる
確認済証の交付 交付後に着工
中間検査 対象となる工程がある場合
完了検査 工事完了後
検査済証の交付 使用開始の前提

確認済証が交付される前に着工できません。夏休みに工事を終える計画では、申請と審査の期間を逆算して設計を前倒しする必要があります。

事前相談を早く行う

過半の判断、棟の数え方、既存不適格の扱い。これらは運用に幅があり、事前相談で確認しておかないと後から計画が変わります。

基本設計の段階で一度、実施設計の前にもう一度相談する進め方が確実です。

検査済証がない場合

旧い校舎では、建築時の検査済証が見つからないことがあります。この場合、確認申請の前に既存建物の法適合性を確認する調査が必要になることがあります。

調査には期間と費用がかかります。工事の計画より先に、書類の有無を庁内で確認してください。

期間を短縮する方法はない

審査の期間は制度で決まっており、交渉で短縮できるものではありません。間に合わないなら、工事の時期を動かすか、工事の範囲を分割するかの判断になります。

確認が不要な範囲だけを先に行い、確認が必要な工事を次年度に回す方法もあります。

よくある質問

Q. 内装の張り替えだけなら確認は不要ですか。

A. 不要です。主要構造部の修繕・模様替ではありません。ただし内装制限の規定には従う必要があります。

Q. 屋上防水のやり直しは確認が必要ですか。

A. 屋根の過半に当たるかで決まります。主要構造部のうち屋根について過半の修繕・模様替となれば、大規模の修繕・模様替に当たります。

Q. 主要構造部とは何ですか。

A. 壁、柱、床、はり、屋根、階段の6つです。このうち一種以上について過半の修繕・模様替を行う工事が、大規模の修繕・模様替に当たります。

Q. 令和7年4月の改正で学校の扱いは変わりましたか。

A. 校舎そのものへの影響は大きくありません。学校は別表第一(い)欄の用途で、200平方メートルを超えるものは改正前から第6条第1項第1号の特殊建築物でした。影響が出るのは部室棟や倉庫などの小さな附属建物です。

Q. 過半かどうかは誰が判断しますか。

A. 最終的には特定行政庁の判断です。棟ごとに数えるか、面積で見るか延長で見るかなど運用に幅があるため、計画の初期に相談してください。

Q. 夏休みの工事に間に合いますか。

A. 確認済証の交付前に着工できません。申請と審査の期間を逆算して設計を前倒しするか、確認が不要な範囲だけを先に行う判断になります。

まとめ

学校の改修に建築確認が必要かは、工事の内容で決まります。金額の大小ではありません。

確認が必要になるのは、新築・増築・改築・移転、大規模の修繕・大規模の模様替、用途変更の3つの場合です。学校の改修では2つ目と3つ目が問題になります。

大規模の修繕・模様替は、主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替です。主要構造部は壁、柱、床、はり、屋根、階段の6つ。したがって内装の張り替えや設備の更新は対象外で、屋上防水の全面やり直しや外壁の全面改修は過半に当たるかの判断になります。

令和7年4月1日施行の改正により、2階建て又は延べ面積が200平方メートルを超える建築物は、構造によらず構造関係規定等の審査が必要になり、大規模な修繕・模様替えも確認の対象になりました。ただし学校は別表第一(い)欄の用途で、200平方メートルを超えるものは改正前から第6条第1項第1号の特殊建築物でした。影響が出るのは部室棟や倉庫などの小さな附属建物です。

学校特有の論点は、棟の数え方と用途変更です。渡り廊下でつながった校舎を1棟と見るか別棟と見るかで、過半の判断が変わります。用途変更については第87条第1項が規定し、学校は施行令第137条の18の11区分に含まれないため、他の用途への変更は類似の用途に当たりません。

そして期間です。確認済証の交付前に着工できません。過半の判断や棟の数え方は運用に幅があるため、基本設計の段階で事前相談を行い、審査の期間を工程に織り込んでください。

参考・出典

記載の法令および制度は公表時点のものです。過半の判断、棟の数え方および手続きの運用は特定行政庁により異なります。個別の適用は特定行政庁、指定確認検査機関および設計者にご確認ください。

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