直接の補助金はなく、運営支援センター整備事業と地方財政措置で手当てします。
ICT支援員は、法令上は情報通信技術支援員と呼ばれます。学校教育法施行規則第65条の5に規定され、「教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援に従事する」職員です。
規定は3文科初第861号「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」により、令和3年8月23日に公布・施行されました。
整備の目標水準は4校に1人配置です。この水準は学校のICT環境整備3か年計画でも維持されています。
財源は、配置そのものを対象とする補助金ではなく、GIGAスクール運営支援センター整備事業の体制整備費と、学校ICT環境整備に係る地方財政措置によります。
この記事では、①法的な位置づけ、②職務の内容、③配置の目標、④財源、⑤配置の進め方、の5点を整理します。
目次
この記事の要点
- ICT支援員の法令上の名称は情報通信技術支援員。学校教育法施行規則第65条の5
- 規定は3文科初第861号により令和3年8月23日に公布・施行
- 職務は「教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援」
- 整備目標は4校に1人配置
- 配置そのものへの直接の補助金はなく、GIGAスクール運営支援センター整備事業と地方財政措置で手当てする
法的な位置づけはどうなっているのか?
学校教育法施行規則第65条の5です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法令上の名称 | 情報通信技術支援員 |
| 根拠 | 学校教育法施行規則第65条の5 |
| 条文の内容 | 教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援に従事する |
| 通知 | 3文科初第861号「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」 |
| 公布・施行 | 令和3年8月23日(公布日と同日施行) |
令和3年に省令で規定された
令和3年8月23日の省令改正で、学校の職員として規定されました。それまで実務では「ICT支援員」として配置されていましたが、法令上の位置づけが明確になりました。
この改正では他の職員も同時に規定されています。
| 職員 | 条番号 |
|---|---|
| 医療的ケア看護職員 | 第65条の2 |
| スクールカウンセラー | 第65条の3 |
| スクールソーシャルワーカー | 第65条の4 |
| 情報通信技術支援員 | 第65条の5 |
| 特別支援教育支援員 | 第65条の6 |
| 教員業務支援員 | 第65条の7 |
第65条の6と混同されやすい
情報通信技術支援員は第65条の5です。第65条の6は特別支援教育支援員です。
条番号を引用する場面では確認してください。
規定されたが配置義務ではない
省令に規定されたことは、職として位置づけられたことを意味します。配置が義務づけられたわけではありません。
したがって配置するかどうか、何人配置するかは、設置者の判断になります。
教員ではない
情報通信技術支援員は教員ではありません。したがって教員免許は不要です。
雇用の形態は、会計年度任用職員として直接雇用する形と、委託により事業者から派遣を受ける形があります。
名称は実務では「ICT支援員」が通る
法令上は情報通信技術支援員ですが、実務と求人では「ICT支援員」が使われます。
文書によって名称が違うため、どちらも同じものと理解してください。
職務の内容は何か?
ICTの活用に関する支援です。
条文は「教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援に従事する」としています。具体的には次の内容が想定されています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ICT活用授業支援 | 授業でのICT活用の補助、機器の準備 |
| 校務支援 | 校務のICT化に関する支援 |
| 環境整備支援 | 機器の設定、障害の一次対応 |
| 校内研修支援 | 教職員への研修の実施・補助 |
授業支援が中心になる
端末やアプリの使い方を教員と一緒に進める、機器を準備する、トラブルに対応する。授業中の支援が業務の中心になります。
教員のICTの習熟度に差があるため、支援の内容は学校によって変わります。
障害の一次対応を担う
端末がつながらない、プロジェクターが映らない。こうした障害の一次対応を担います。
一次対応で解決しないものは、ヘルプデスクや事業者に引き継ぎます。したがって支援員とヘルプデスクの役割分担を決めておく必要があります。
研修が定着を左右する
機器を入れても使われなければ投資が無駄になります。校内研修の実施が、定着の鍵になります。
研修を支援員の業務に含めるかは、仕様の設計次第です。
教員の業務負担との関係
支援員がいない学校では、ICTに詳しい教員が実質的に支援を担います。この負担は本来の業務ではありません。
支援員の配置は、教員の負担軽減の観点でも説明できます。
校務系と学習系の切り分け
校務支援システムと学習系の端末は、ネットワークもセキュリティの扱いも別です。支援員がどちらを扱うかを決めてください。
校務系に触れる場合、情報セキュリティポリシーとの整合が必要になります。
複数校を巡回する形が基本
4校に1人という水準から、1人が複数校を巡回する形が基本になります。したがって常駐ではありません。
巡回の頻度と、不在時の対応方法を決めておいてください。
配置の目標はどうなっているのか?
4校に1人です。
| 項目 | 整備水準 |
|---|---|
| ICT支援員 | 4校に1人配置 |
| 学習者用端末 | 1人1台整備 |
| 指導者用端末 | 1人1台整備 |
| 大型提示装置・実物投影機 | 各普通教室1台、特別教室用として各学校に6台 |
| インターネット・無線LAN | 100パーセント整備 |
| 統合型校務支援システム | 100パーセント(令和11年度) |
4校に1人の意味
小中学校が20校ある市町村なら5人という計算です。1人が4校を担当する形になります。
1校あたりの訪問日数は、週1回程度が目安になります。
水準は目標であり義務ではない
整備水準は国が示す目標です。達成が義務づけられているわけではありません。
一方、この水準をもとに地方財政措置の額が算定されます。したがって水準は予算要求の根拠として使えます。
端末の台数に比べて支援が追いついていない
1人1台端末は整備されましたが、支援員の配置は水準に達していない団体があります。機器を入れることと使えるようにすることの間に差が生じています。
この差が、授業でICTが使われない原因になります。
3か年計画の全体像
整備水準は学校のICT環境整備3か年計画(2025〜2027年度)で示されています。6文科初第2064号(令和7年1月24日)の通知によるものです。
計画の内容は学校のICT環境整備3か年計画とは何か?で扱っています。
必要な人数は学校の規模で変わる
4校に1人は平均の水準です。大規模校が多い団体では、1人で4校を回るのが難しい場合があります。
学級数と端末の台数から、実際に必要な訪問日数を積算してください。
整備水準の全体
ICT環境として何を整えるべきかは学校のICT環境とは何か?で扱っています。
財源はどうなっているのか?
運営支援センター整備事業と地方財政措置です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| GIGAスクール運営支援センター整備事業 | 国3分の1、市町村3分の2。体制整備に要する経費が対象 |
| 学校ICT環境整備に係る地方財政措置 | 3か年計画の事業費 単年度1,464億円に所要の措置 |
配置そのものへの補助金はない
ICT支援員の人件費を直接の対象とする補助金はありません。
一方、GIGAスクール運営支援センター整備事業の対象経費には「ICT人材の確保及び育成」が含まれ、人件費、謝金、旅費、委託料などが対象とされています。したがって体制整備の一部として支援を受ける形になります。
運営支援センター整備事業の負担割合
国3分の1、市町村3分の2という整理が示されています。対象経費はヘルプデスクの運営及びサポート対応、ネットワークのトラブル対応、ICT人材の確保及び育成などを行うための体制整備に要する経費です。
内容はGIGAスクール運営支援センター整備事業とは何か?で扱っています。
地方財政措置が基本の財源になる
学校のICT環境整備3か年計画の事業費には、ICT支援員の配置も含まれています。所要の地方財政措置が講じられるとされています。
ただし基準財政需要額への算入であり、不交付団体では効果が現れません。
委託と直接雇用で費用の性質が変わる
直接雇用は人件費です。委託は委託料です。会計の区分が変わるため、予算の科目も変わります。
委託の場合、事業者が人材を確保するため採用の手間が減ります。一方、単価は直接雇用より高くなる傾向があります。
単年度の委託では人が入れ替わる
単年度の委託契約では、年度が変わると担当者が変わることがあります。学校の事情を把握した人が継続しないと、支援の質が下がります。
複数年度の契約や、同一人の継続配置を仕様に入れる団体があります。
予算要求の組み立て
国の整備水準(4校に1人)と、自団体の現在の配置を並べると、不足が数字で出ます。これが予算要求の根拠になります。
あわせて端末の台数と、支援がないことで生じている問題を示してください。
配置はどう進めるのか?
必要な訪問日数の積算から入ります。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 学校数、学級数、端末台数を整理する |
| 2 | 学校ごとに必要な訪問日数を積算する |
| 3 | 直接雇用と委託のどちらで確保するかを決める |
| 4 | 業務の範囲(授業支援、障害対応、研修)を決める |
| 5 | ヘルプデスクとの役割分担を決める |
| 6 | 運営支援センター整備事業の対象になるかを確認する |
| 7 | 予算に計上する |
訪問日数で積算する
人数ではなく訪問日数で積算すると、必要な規模が具体的になります。1校あたり週1回なら、4校で週4日です。
大規模校では週2回必要になることもあります。学校別に積算してください。
業務の範囲を文書で決める
支援員の業務が曖昧だと、学校ごとに期待されることが違い、現場が混乱します。授業支援、障害の一次対応、研修、校務支援のどこまでを担うかを文書化してください。
とくに校務系のシステムに触れるかは、セキュリティポリシーとの関係で明確にする必要があります。
ヘルプデスクとの線引き
支援員が現地で対応するもの、ヘルプデスクが電話やリモートで対応するもの、事業者が修理するもの。この3段の切り分けを決めてください。
切り分けがないと、学校がどこに連絡すればよいか分かりません。
教員への周知が必要
支援員がいても、教員が依頼の仕方を知らなければ使われません。訪問の日程、依頼の方法、対応できる範囲を学校に周知してください。
人材の確保が難しい
ICTの知識と学校の事情の両方を理解した人材は限られます。委託でも、事業者が人を集められない地域があります。
近隣市町村と共同で確保する、研修により地域の人材を育成するといった方法を検討してください。
補助金全体との関係
ICT整備に使える補助金の全体像は学校のICT環境整備で使える補助金まとめで扱っています。
よくある質問
Q. ICT支援員の法令上の位置づけは何ですか。
A. 学校教育法施行規則第65条の5に規定された情報通信技術支援員です。「教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援に従事する」職員とされています。
Q. いつ規定されましたか。
A. 令和3年8月23日です。3文科初第861号「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」により、公布日と同日に施行されました。
Q. 配置の目標は何人ですか。
A. 4校に1人配置です。学校のICT環境整備3か年計画で示された整備水準です。
Q. 配置は義務ですか。
A. 義務ではありません。省令に職として規定されましたが、配置するかどうか、何人配置するかは設置者の判断です。
Q. 人件費に直接使える補助金はありますか。
A. 配置そのものを対象とする補助金はありません。GIGAスクール運営支援センター整備事業の対象経費に「ICT人材の確保及び育成」が含まれ、国3分の1、市町村3分の2という整理が示されています。
Q. 教員免許は必要ですか。
A. 不要です。情報通信技術支援員は教員ではありません。会計年度任用職員として直接雇用する形と、委託により事業者から派遣を受ける形があります。
まとめ
ICT支援員の法令上の名称は情報通信技術支援員で、学校教育法施行規則第65条の5に規定されています。3文科初第861号「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」により、令和3年8月23日に公布・施行されました。条文は「教育活動その他の学校運営における情報通信技術の活用に関する支援に従事する」としています。
職務は、ICT活用授業支援、校務支援、環境整備支援、校内研修支援が想定されています。授業中の支援と障害の一次対応が中心で、一次対応で解決しないものはヘルプデスクや事業者に引き継ぎます。したがって支援員とヘルプデスクの役割分担を決めておく必要があります。
整備の目標水準は4校に1人配置です。小中学校が20校ある市町村なら5人という計算で、1校あたり週1回程度の訪問が目安になります。省令に規定されたことは職として位置づけられたことを意味し、配置が義務づけられたわけではありません。
財源については、配置そのものを対象とする補助金はありません。GIGAスクール運営支援センター整備事業の対象経費に「ICT人材の確保及び育成」が含まれ、国3分の1、市町村3分の2という負担割合が示されています。あわせて学校ICT環境整備に係る地方財政措置が基本の財源になります。
進め方としては、人数ではなく訪問日数で積算すると必要な規模が具体的になります。業務の範囲を文書で決め、ヘルプデスクとの線引きを明確にし、教員への周知を行ってください。1人1台端末は整備されても支援の配置が追いつかなければ、授業でICTが使われない状態が続きます。
参考・出典
- 文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(3文科初第861号、令和3年8月23日) https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/mext_00034.html
- 文部科学省「学校のICT環境整備3か年計画(2025〜2027年度)」 https://www.mext.go.jp/content/20250128-mxt_shuukyo01-000011648_01.pdf
- 文部科学省「令和7年度以降の学校におけるICT環境の整備方針及び学校のICT環境整備3か年計画(2025〜2027年度)について(通知)」(6文科初第2064号、令和7年1月24日) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_02994.html
- 文部科学省「学校のICT環境整備に係る地方財政措置」 https://www.mext.go.jp/content/20240722-mxt_jogai02-000037105_6.pdf
- e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000080011
記載の制度および整備水準は公表時点のものです。対象経費の範囲および負担割合は所管部署の運用により異なります。個別の適用は文部科学省および都道府県・市町村の所管部署にご確認ください。
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