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学校法人に固定資産税はかかるのか?【2026年版】非課税の範囲と外れる場合

直接教育の用に供する固定資産は非課税です。

地方税法第348条第2項第9号は、学校法人がその設置する学校において直接保育または教育の用に供する固定資産について、固定資産税を課することができないと定めています。校舎、体育館、グラウンド、図書室はこの範囲に入ります。

ただし「学校法人が持っていれば非課税」ではありません。要件は直接その用に供していることです。使っていない建物、第三者に貸した部分、教育と関係のない用途に使っている部分は、この要件から外れる可能性があります。

そして空き教室の活用を考えるとき、この点が判断に効いてきます。

この記事では、①非課税の根拠と範囲、②要件から外れる場合、③不動産取得税、④税率と免税点、⑤判断の進め方、の5点を整理します。

この記事の要点

  • 地方税法第348条第2項第9号により、学校法人がその設置する学校において直接保育または教育の用に供する固定資産は固定資産税が非課税
  • 要件は「直接」その用に供していることで、法人が所有していれば自動的に非課税になるわけではない
  • 同法第348条第2項のただし書きにより、固定資産を有料で借り受けた者が同項に掲げる固定資産として使用する場合は、所有者に課することができる
  • 不動産取得税は同法第73条の4第1項第3号により、学校法人が設置する学校で直接保育または教育の用に供する不動産について非課税で、寄宿舎における使用も含まれる
  • 固定資産税の賦課期日は毎年1月1日(同法第359条)で、標準税率は100分の1.4(同法第350条)

非課税の根拠と範囲はどうなっているのか?

地方税法第348条第2項第9号です。

同号は、学校法人がその設置する学校において直接保育または教育の用に供する固定資産について、固定資産税を課することができないと定めています。あわせて、公益社団法人等が設置する図書館や博物館での直接使用資産も規定されています。

用途 非課税の可否
校舎(普通教室、特別教室) 直接教育の用に供していれば該当
体育館 同じ
グラウンド 同じ
図書室 同じ
職員室・事務室 学校の運営に必要な部分として判断される
寄宿舎 個別の判断になる
使っていない校舎 要件から外れる可能性がある
第三者に貸している部分 要件から外れる可能性がある

同法第348条第1項は、市町村は国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては固定資産税を課することができないと定めています。公立学校が非課税なのはこの規定によるもので、学校法人とは根拠が違います。

「直接」が要件になる

条文は「直接」保育または教育の用に供する固定資産としています。学校法人が所有していれば自動的に非課税になるわけではありません。

実際にその用途で使っている部分が対象です。したがって建物の一部を別の用途に使っている場合、その部分の扱いは個別の判断になります。

都市計画税も同じ範囲

都市計画税については、同法第702条の2が国、都道府県、市町村等に対して課することができないと定めています。学校法人の固定資産についても、固定資産税の非課税の範囲に合わせた取扱いがあります。

所在する市町村の資産税の所管部署に確認してください。

社会福祉法人も別の号で非課税

学校法人以外では、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供する固定資産について、同法第348条第2項の第10号以降の各号で非課税が定められています。

保護施設は第10号、児童福祉施設は第10号の3、認定こども園は第10号の4、老人福祉施設は第10号の5、障害者支援施設は第10号の6です。

幼稚園と認定こども園

幼稚園は学校教育法上の学校であり、学校法人が設置するものは第9号の範囲で判断されます。認定こども園については第10号の4が関わります。

設置の形態によって根拠が変わるため、所管部署に確認してください。

要件から外れるのはどういう場合か?

直接その用に供していない部分です。

状況 扱い
空き教室を物置にしている 判断が分かれる
空き教室を第三者に貸している 要件から外れる可能性
校舎の一部を事務所として貸している 同じ
グラウンドを駐車場として貸している 同じ
使っていない校舎を放置している 要件から外れる可能性
教職員住宅 個別の判断

ここで注意すべきは、同法第348条第2項のただし書きです。固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができるとされています。

つまり所有と使用が分かれる形を組むと、借受人が非課税用途に使っていても、所有者への課税がなくなるとは限りません。

空き教室の活用で判断が必要になる

少子化で空き教室が出ると、地域に開放する、事業者に貸す、別の用途に使うという検討が始まります。この判断に税の扱いが絡みます。

空き教室の活用は余裕教室はどう活用するのか?で扱っています。無償で地域に開放する場合と、賃料を取って貸す場合で扱いが変わる可能性があります。

遊休資産の扱い

使っていない校舎や敷地が残る場合、直接教育の用に供しているとは言いにくくなります。

遊休資産の考え方は学校の遊休資産はどう活用するのか?で扱っています。保有を続けるか処分するかの判断に、税の負担が関わります。

土地を売却した場合

学校法人が土地を売却すれば、所有権が移った翌年の1月1日から取得者が納税義務者になります。

土地の売却の考え方は学校の土地売却はどう進めるのか?で扱っています。

判断は個別の事実関係による

どこまでが「直接教育の用に供する」かは、使い方の実態で判断されます。条文を読んだだけでは結論が出ません。

計画の段階で、所在する市町村の資産税の所管部署に具体的な使い方を示して確認してください。

不動産取得税はどうなるのか?

同法第73条の4第1項第3号で非課税です。

同号は、学校法人が設置する学校において直接保育または教育の用に供する不動産について、不動産取得税を課することができないと定めています。寄宿舎における使用も含まれます。

取得者・用途 扱い
学校法人が設置する学校で直接保育または教育の用に供する不動産 非課税(第73条の4第1項第3号)
国、都道府県、市町村、特別区等 課税できない(第73条の3)
保護施設の用に供する不動産 非課税(第73条の4第1項第4号)
児童福祉施設の用に供する不動産 非課税(同項第4号の3)
認定こども園の用に供する不動産 非課税(同項第4号の4)
上記以外 課税

寄宿舎が明記されている

第3号には寄宿舎における使用も含まれます。校舎と寮を取得する場合、この点が関わります。

取得の対価は問われない

不動産取得税は、取得が有償か無償かを問いません。無償で譲り受けた場合も課税の対象になります。

学校法人が非課税の要件に当たる場合は課税されませんが、要件に当たらない用途で取得する場合は、無償でも課税されます。

標準税率と免税点

不動産取得税の標準税率は100分の4です(同法第73条の15)。免税点は、土地の取得は10万円、家屋の取得のうち建築に係るものは一戸につき23万円、その他のものは一戸につき12万円です(同法第73条の15の2)。

税率と免税点はどうなっているのか?

標準税率と免税点が定められています。

税 標準税率・上限 根拠
固定資産税 標準税率100分の1.4 第350条
都市計画税 100分の0.3を超えられない 第702条の4
不動産取得税 標準税率100分の4 第73条の15

固定資産税の免税点は、土地30万円未満、家屋20万円未満、償却資産150万円未満です(同法第351条)。ただし財政上その他特別の必要がある場合は、市町村の条例により、これらの金額未満でも課税できるとされています。

賦課期日は1月1日

固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日です(同法第359条)。

したがって1月1日時点の所有者と使用の状況で、その年度の扱いが決まります。年度の途中で使い方を変えても、その年度の扱いは変わりません。

標準税率と実際の税率

標準税率は目安であり、市町村の条例で異なる税率を定めている場合があります。実際の税率は所在する市町村で確認してください。

償却資産も対象になる

固定資産税は土地と家屋だけでなく、償却資産も対象です。学校の設備や機器についても、非課税の要件に当たるかの判断があります。

減免の制度

非課税に当たらない場合でも、減免の余地があります。同法第367条は、市町村長が天災その他特別の事情がある場合において減免を必要とすると認める者その他特別の事情がある者に限り、市町村の条例の定めるところにより固定資産税を減免することができると定めています。

要件と範囲は市町村の条例で決まります。公益性の高い用途について減免を設けている市町村もあります。

判断はどう進めるのか?

使い方を具体化してから確認します。

手順 内容
1 建物と敷地の使い方を部分ごとに整理する
2 直接教育の用に供する部分を切り分ける
3 それ以外の部分の用途と条件を整理する
4 市町村の資産税の所管部署に確認する
5 課税される場合の負担額を見込む
6 活用の方針を決める

ここで重要なのは1です。建物全体ではなく、部分ごとの使い方を整理してください。1棟の中に教育の用途と別の用途が混在することが、実際にはよくあります。

賃料と税負担を並べて見る

空き教室を貸して収入を得る場合、その収入と、課税された場合の税負担を並べて比較してください。

賃料収入が税負担を下回れば、貸す意味がなくなります。この計算をせずに貸すと、後から負担だけが残ります。

経営の判断に組み込む

施設の保有と活用は、学校法人の経営判断の一部です。私立学校の施設経営は私立学校の施設経営はどう考えるのか?で扱っています。

税の扱いは、保有を続けるか処分するかの判断材料の1つになります。

確認は書面で残す

所管部署への確認は、口頭だけで済ませず、確認した内容と日付を記録してください。担当者が変わると見解が変わることがあります。

よくある質問

Q. 学校法人に固定資産税はかかりますか。

A. 直接保育または教育の用に供する固定資産は、地方税法第348条第2項第9号により非課税です。所有していれば自動的に非課税になるわけではありません。

Q. 空き教室を貸すと課税されますか。

A. 直接教育の用に供する要件から外れる可能性があります。同法第348条第2項のただし書きもあるため、所在する市町村の資産税の所管部署に具体的な使い方を示して確認してください。

Q. 不動産取得税はかかりますか。

A. 学校法人が設置する学校で直接保育または教育の用に供する不動産は、同法第73条の4第1項第3号により非課税です。寄宿舎における使用も含まれます。

Q. 無償で譲り受ければ不動産取得税はかかりませんか。

A. 取得が有償か無償かは問われません。非課税の要件に当たらない用途で取得する場合は、無償でも課税の対象になります。

Q. いつの時点で判断されますか。

A. 固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日です。1月1日時点の所有者と使用の状況で、その年度の扱いが決まります。

Q. 非課税に当たらない場合、減免はありますか。

A. 同法第367条に基づき、市町村の条例の定めるところにより減免される余地があります。要件と範囲は条例で決まります。

まとめ

学校法人の固定資産税は、直接保育または教育の用に供する固定資産について非課税です。根拠は地方税法第348条第2項第9号です。

重要なのは「直接」という要件です。学校法人が所有していれば自動的に非課税になるわけではありません。使っていない建物、第三者に貸した部分、教育と関係のない用途に使っている部分は、要件から外れる可能性があります。

さらに同法第348条第2項のただし書きにより、固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項に掲げる固定資産として使用する場合には、所有者に課することができるとされています。所有と使用が分かれる形を組むときは、ここを確認してください。

不動産取得税は同法第73条の4第1項第3号で非課税です。第3号には寄宿舎における使用も含まれます。ただし取得が有償か無償かは問われないため、非課税の要件に当たらない用途で取得する場合は無償でも課税されます。

税率は固定資産税の標準税率が100分の1.4、都市計画税の上限が100分の0.3、不動産取得税の標準税率が100分の4です。賦課期日は1月1日で、その時点の所有者と使用の状況で年度の扱いが決まります。

空き教室の活用を検討するときは、建物全体ではなく部分ごとの使い方を整理し、所在する市町村の資産税の所管部署に確認してください。そして賃料収入と課税された場合の負担を並べて比較することです。

参考・出典

記載の法令および税率は公表時点のものです。税率は市町村の条例により標準税率と異なる場合があり、非課税および減免の適用は個別の事実関係によって判断されます。個別の適用は所在する市町村の資産税の所管部署および税務の専門家にご確認ください。

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