この記事は、学校施設の設計・施工を行う株式会社光建舎が作成しています。設計(ウイングスペース一級建築士事務所)から施工まで一社で対応し、専門学校・高校・自治体の学校施設を手がけています。

学校の改修に補助金は何割出るのか?【2026年版】負担金と交付金の算定割合

答えは、公立か私立か、どの事業かで変わります。

公立学校については、国庫負担金と交付金という2つの制度があります。校舎等の新増築は負担金で原則2分の1、老朽化対策の大規模改造や耐震補強、改築は交付金で事業ごとの算定割合です。

ただし「改修費の何割」という問いには、注意が必要です。算定割合は実際に支払う工事費に掛けるものではありません。国が定めた基準に基づく額に掛けるため、実際の工事費に対する割合は、算定割合より小さくなるのが通例です。

ここを誤解したまま予算を組むと、自治体の負担が想定を超えます。

この記事では、①2つの制度、②事業別の算定割合、③実際の負担との差、④私立学校の制度、⑤予算の組み方、の5点を整理します。

この記事の要点

  • 公立学校施設整備費負担金は原則2分の1で、根拠は義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第3条
  • 学校施設環境改善交付金の根拠は同法第12条および学校施設環境改善交付金交付要綱(最終改正令和8年4月13日)
  • 主な事業の算定割合は、改築3分の1から2分の1、地震補強2分の1から3分の2、大規模改造3分の1から2分の1、長寿命化改良3分の1から2分の1
  • 算定割合は国が定める基準に基づく額に掛けるため、実際の工事費に対する割合はこれより小さくなる
  • 私立学校には私立学校施設整備費補助金などの制度があり、補助割合は交付要綱で事業ごとに定められる

2つの制度とは何か?

負担金と交付金です。

公立学校の施設整備には、国庫負担金と交付金の2つの制度があります。どちらに当たるかは、事業の内容で分かれます。

制度 対象 根拠
公立学校施設整備費負担金 校舎等の新増築 施設費負担法第3条。原則2分の1
学校施設環境改善交付金 老朽化対策等の大規模改造、耐震補強、改築等 施設費負担法第12条、学校施設環境改善交付金交付要綱

施設費負担法は、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律の略称です。

新増築は負担金

児童生徒数の増加に対応する校舎の新増築は、負担金の対象です。原則2分の1が国の負担とされています。

ただし地域や事業内容による特例があります。

改修は交付金

老朽化対策の大規模改造、耐震補強、長寿命化改良、改築。これらは交付金の対象です。学校施設環境改善交付金交付要綱に基づき、事業ごとに算定割合が定められています。

学校の改修で関わるのは、ほとんどがこちらです。

要綱は改正される

学校施設環境改善交付金交付要綱は、最終改正が令和8年4月13日です。公立学校施設費国庫負担金等に関する関係法令等の運用細目も同じ日付で改正されています。

制度は改正されるため、計画の時点の要綱を確認してください。過去の資料に基づいて見込むと、金額が合わなくなります。

事業別の算定割合はどうなっているのか?

事業区分ごとに定まります。

事業 算定割合
改築 3分の1から2分の1
地震補強 2分の1から3分の2
大規模改造 3分の1から2分の1
長寿命化改良 3分の1から2分の1
学校給食施設 2分の1から3分の1

幅があるのは、事業の内容や条件によって割合が変わるためです。耐震補強については、構造体の性能によって割合が上がる仕組みがあります。

耐震補強は割合が高い

地震補強は2分の1から3分の2です。他の事業より高く設定されており、耐震化を進める政策の意図が表れています。

耐震補強の進め方は学校の耐震補強はどう進めるのか?で扱っています。

長寿命化改良という区分

建物を長く使うための改修は、長寿命化改良として交付金の対象になります。算定割合は3分の1から2分の1です。

この制度を使うには、個別施設計画が前提になります。長寿命化改修の考え方は学校の長寿命化改修とは何か?で扱っています。

大規模改造との違い

大規模改造と長寿命化改良は、どちらも既存の校舎に手を入れる事業です。どの区分で申請するかは、工事の内容と計画上の位置づけで決まります。

同じ工事でも区分が違えば算定割合も変わるため、計画の段階で所管部署と確認してください。大規模修繕の考え方は学校の大規模修繕とは何か?で扱っています。

個別施設計画が前提になる事業がある

長寿命化改良など、個別施設計画への位置づけが前提になる事業があります。計画がなければ申請できません。

個別施設計画の考え方は学校の個別施設計画はどう作るのか?で扱っています。

実際の負担との差はなぜ出るのか?

算定の基礎が工事費ではないからです。

算定割合は、実際に支払う工事費に掛けるものではありません。国が定める基準に基づいて算定した額に掛けます。

要素 内容
算定の基礎 国が定める基準に基づく額
実際の工事費 設計と入札で決まる額
対象外の経費 補助の対象に含まれない工事や費用
面積の基準 基準となる面積を超える部分の扱い
単価の基準 基準となる単価を超える部分の扱い

実際の工事費が基準を上回る場合、その差は自治体の負担になります。したがって「3分の1の補助があるから残りの3分の2を用意すればよい」という計算は成り立ちません。

対象外の経費がある

補助の対象に含まれない工事や経費があります。想定していた工事が対象外だった場合、全額が自治体の負担になります。

どの工事が対象になるかは、運用細目と交付要綱で定められています。設計の前に確認してください。

事業費を分けて考える

総事業費のうち、補助の対象となる部分と対象外の部分を分けて把握してください。この整理がないと、必要な一般財源の額が出ません。

地方債との組合せ

補助の対象外や自治体の負担分には、地方債を充てる方法があります。充当率と交付税措置の有無は、事業の区分によって異なります。

財政の所管部署と早い段階で調整してください。

私立学校の制度はどうなっているのか?

別の制度です。

私立学校には、公立学校の負担金や交付金とは別の補助制度があります。

補助金 対象
私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費)) 私立大学・大学院等
私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立高等学校等施設高機能化整備費)) 私立高等学校等
私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等研究設備等整備費) 私立大学等
私立大学等研究設備整備費等補助金(私立高等学校等ICT教育設備整備推進事業費) 私立高等学校等

補助の割合は交付要綱で事業ごとに定められています。公立学校のように一律の負担割合があるわけではありません。

交付要綱を事業単位で確認する

私立学校向けの補助は、事業ごとに交付要綱が分かれています。装置、施設、設備、ICTで別の要綱になっています。

計画している工事がどの要綱の対象になるかを、先に確認してください。該当する要綱がなければ、補助の対象外です。

都道府県の制度も確認する

国の補助とは別に、都道府県が私立学校向けの助成制度を設けている場合があります。耐震化やICT整備について、独自の制度を持つ都道府県があります。

国の制度だけを見て諦めず、所在する都道府県の制度も確認してください。

融資の活用

日本私立学校振興・共済事業団が、学校法人向けの融資を行っています。補助では足りない部分の資金調達として検討の対象になります。

借入れで整備する場合は、返済の原資を学生生徒納付金の見通しと合わせて確認してください。定員の充足率が下がる局面では、返済が経営を圧迫します。

予算はどう組むのか?

補助を当てにしない前提から始めます。

手順 内容
1 工事の内容と総事業費を把握する
2 補助の対象となる部分を切り分ける
3 算定の基礎となる額を所管部署に確認する
4 算定割合を掛けて補助見込額を出す
5 総事業費から差し引いて自治体の負担を出す
6 地方債と一般財源の内訳を決める

ここで重要なのは3です。算定の基礎となる額が、実際の工事費と一致しません。この額を把握しないと、補助見込額が出せません。

採択されない場合を想定する

申請しても採択されないことがあります。国の予算の範囲があり、全国の申請が優先度で判断されます。

採択されなかった場合に工事を延期するのか、単独で実施するのかを、申請の前に決めてください。

年度をまたぐ工事

学校の工事は、夏休みや冬休みに合わせて行うため、年度をまたぐ工程になることがあります。補助の制度は年度単位で動くため、工程と予算の年度区分を合わせる必要があります。

複数年度の計画で見る

単年度の予算では、必要な改修が一度に行えません。個別施設計画に基づいて複数年度の計画を立て、年度ごとの事業を割り振る形になります。

計画がないまま単年度ごとに判断すると、優先度の高い工事が後回しになります。

よくある質問

Q. 補助金は改修費の何割出ますか。

A. 事業区分で異なります。改築3分の1から2分の1、地震補強2分の1から3分の2、大規模改造3分の1から2分の1、長寿命化改良3分の1から2分の1です。

Q. 算定割合を工事費に掛ければよいのですか。

A. 違います。算定割合は国が定める基準に基づく額に掛けます。実際の工事費に対する割合は、算定割合より小さくなるのが通例です。

Q. 新増築と改修で制度は違いますか。

A. 違います。校舎等の新増築は公立学校施設整備費負担金で原則2分の1、老朽化対策等の大規模改造や耐震補強、改築は学校施設環境改善交付金です。

Q. 耐震補強の割合は高いのですか。

A. 地震補強は2分の1から3分の2で、他の事業より高く設定されています。

Q. 私立学校も国の補助を使えますか。

A. 私立学校施設整備費補助金などの制度があります。公立学校のような一律の負担割合はなく、補助の割合は事業ごとの交付要綱で定められています。

Q. 申請すれば必ず採択されますか。

A. 採択されないことがあります。採択されなかった場合に工事を延期するのか単独で実施するのかを、申請の前に決めてください。

まとめ

学校の改修に出る補助の割合は、公立か私立か、どの事業かで変わります。

公立学校には2つの制度があります。校舎等の新増築は公立学校施設整備費負担金で原則2分の1、根拠は義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第3条です。老朽化対策等の大規模改造、耐震補強、改築は学校施設環境改善交付金で、根拠は同法第12条と学校施設環境改善交付金交付要綱です。

主な事業の算定割合は、改築3分の1から2分の1、地震補強2分の1から3分の2、大規模改造3分の1から2分の1、長寿命化改良3分の1から2分の1です。耐震補強が高く設定されています。

ここで注意すべきは、算定割合が実際の工事費に掛かるものではないという点です。国が定める基準に基づく額に掛けるため、実際の工事費に対する割合はこれより小さくなります。「3分の1の補助があるから残りを用意すればよい」という計算は成り立ちません。

私立学校には別の制度があります。私立学校施設整備費補助金などが事業ごとの交付要綱で定められ、一律の負担割合はありません。都道府県の独自制度と、日本私立学校振興・共済事業団の融資も検討の対象になります。

予算を組むときは、算定の基礎となる額を所管部署に確認することから始めてください。そして採択されない場合の対応を、申請の前に決めておくことです。

参考・出典

記載の制度および算定割合は公表時点のものです。交付要綱および運用細目は改正されるため、事業の区分、算定の基礎となる額および採択の判断は所管部署により異なります。個別の適用は文部科学省および都道府県・市町村の施設整備所管部署にご確認ください。

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